国内にいる熊は2種類で、北海道はヒグマ、本州以南にはツキノワグマが生息してます。環境省とNGO日本クマネットワークが公表しているツキノワグマの分布図を見ると、本州でまったく熊のいない県は、わずかに1県のみ。それが千葉県です。しかも過去の生息例もないという不思議な場所なのです。
少なくとも縄文時代以降、千葉県に熊は生息していない
2004年の第6回自然環境保全基礎調査では、茨城県も「熊のいない県」だったのですが、その後のNGO日本クマネットワークの調査報告で、2006年に茨城の出没例が確認され、熊のいない、稀に見る安全な県は、千葉県だけということに。
関東でも熊の生息地域は北部と西部に限定され、海岸部にはいません。
福島県も浜通りには生息していません。
現在の日本列島ではヒグマは北海道にしか生息していませんが、更新世の化石記録からはかつてヒグマが本州のかなり広いエリアにに生息していたことがわかっています(34万年前〜2万年前にかけてヒグマが本州に広く生息)。
関東北部の群馬県上野村と埼玉県秩父市では、後期更新世のクマの化石が出土しているが、千葉県内からは出土していないので、千葉県立中央博物館ではかなり以前から現在の千葉県エリアには熊はいなかったと推測しています。
それが証拠に縄文時代の遺跡からも、イノシシやシカは全身の骨が見つかっていますが、熊は皆無です。
カシ、シイ、クスノキなど照葉樹が茂る千葉県で、熊の生息環境にも合うのだと推測できますが、洪積平野に分断され、千葉の山は独立峰のような存在なので、移動を阻んだとも推測できます。
ただ、北海道などでは平野部でも熊はかなりの距離を横断しているので、千葉の山には魅力がなかったのかもしれません。
最高峰の愛宕山が全国の都道府県最高峰の最低標高ということからも、とても「山深い」ともいえず、利根川、江戸川とその堆積地で移動、侵入を阻まれたということもあるでしょう。
ちなみに本州以外では、九州のツキノワグマは絶滅、四国も目撃例が限られています。
伊豆半島、能登半島先端部、佐渡にも熊は生息していません。
本州で熊が生息しない県は、たった1県しかない! | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag