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善光寺に隠されたトリックを探せ!(PART3)本堂編

全国に広がった善光寺信仰は、本尊の一光三尊阿弥陀如来(善光寺如来)への信心。戦国時代に武田信玄、織田信長、豊臣秀吉も争奪戦を展開したありがたい仏様ですが、その善光寺如来を祀るのが本堂です。実はこの本堂にもトリック、仕掛けが隠されているのです。

TRICK5 「錯覚には錯覚を! 」で眺める本堂

本堂に隠されたトリックは、かなりじっくりと眺めても絶対に気がつきません。
というよりも、気がつかないように設計された工夫なのです。

本堂の全面に並ぶ8本の柱。この柱には実はちょっとした工夫が施されています。
柱の直径は1尺8寸(54cm)なのですが、両端の2本のみ他の6本よりやや太く造られているのです。

本堂正面から8本の柱を眺めたとき、内側にある6本は、長押(なげし)や扉などすぐ後ろにある物が同時に目に入ります。
太陽が沈むときに大きく感じるという理屈と同じで、対象物があるがために、柱の太さが強調されます。

これに対して両脇の2本の背景は後ろの木々の緑や空。
太さを強調するという点においては両脇の2本は内側の6本よりも背景が乏しいというワケなのです。

つまり「同一の太さでは他の柱より細く見えてしまう」錯覚を防止するため、外側の柱のみわずかに5分(約1.7cm)太く補正されているのです。
「錯覚には錯覚を」(錯覚は錯覚で補正)のトリックが、こんなところにも使われているのです。

TRICK6 「お戒壇めぐり」で極楽往生

善光寺の本堂の地下には、真っ暗闇の中を手探りで進む「お戒壇めぐり」も用意されています。
地下道の中央、つまりは本尊の真下に密室があり、その部屋の扉に仏具の独鈷(とっこ)のかたちをした大きな鍵がかけられています。

暗闇の中を一歩一歩手探りで進むのですが、首尾良くこの鍵に触れられれば、「極楽往生が約束される」というもの。

「鍵に触れられなかった!」なんてドジな人もなかにはいますが、100%鍵にタッチしようと思ったら、必ず右側の壁に手を触れながら進めばOK!
これで極楽往生のきっぷを間違いなく手に入れることができます。

ゲーム感覚で参加でき、しかも仏の功徳を得られるというこの仕掛け、「おらが善光寺さん」という上手なプロモーションにもなっているのです。

神聖な場所で撮影が禁じられているんで、善光寺事務局の許可を得て、イラストでその雰囲気を表現してみました(イラストレーターが実体験)。

お戒壇めぐりの想像図。イラスト/多田敬一
善光寺に隠されたトリックを探せ!(PART3)本堂編
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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