愛媛県宇和島市の宇和海沿岸はリアス式海岸で、いたるところに深く切れ込んだ入江があり農地が少ないのが特長。40度という急斜面に石垣を築き幅約1mほどの畑を鍬で開拓したという遊子水荷浦の段畑(ゆすみずがうらのだんばた)は、「耕して天に至る」という言葉がピタリとくる段畑で、その絶景をひと目見ようと全国から多くの人が訪れます。
400年をかけて「耕して天に至る」段々畑
江戸時代、伊予宇和島10万石・伊達家の治世となってからは、漁業を生業としながら、自給食料を確保するため後背地の斜面を開拓し、麦、大豆、甘藷などを栽培することが義務づけられました。
石積みの高さは平均1m以上で、それが50段以上も積み重なっています。
左右の両端には耕作者が登降するための通路と大雨の時の排水路を兼ねた石組みの溝を設置。
乾燥した土質のため、江戸時代後期に麦、サツマイモの栽培が始まり、明治時代の養蚕の興隆により桑の栽培へと変化。
さらに食料、アルコール製造を目的として大規模なサツマイモの栽培が行なわれ、高度成長時代には柑橘類が栽培されましたが、今では日本一収穫が早い馬鈴薯を栽培。
かつては宇和島の周囲は至る所に段畑が見られましたが、今ではここだけ。
一帯の8.3haは平成19年5月に全国で3例目の重要文化的景観(「水田・畑地などの農耕に関する景観地」)に選定されています。
また、農林水産省の「美しい日本のむら景観百選」にも選定。
イワシ漁で賑わった水荷浦の背後に気の遠くなるような行程を経て誕生した段々畑は、もともと自給自足のためのもの。
今でも石垣の草取りなどその保存には気の遠くなるような努力が必要で、地元ではNPO法人「段畑を守ろう会」をつくってその保護に努めています。
また、毎年4月下旬の日曜には『ふる里だんだん祭り』も開催され、早掘りバレイショの即売、段畑ガイド、郷土料理の出店などが行なわれています。
遊子水荷浦の段畑 | |
名称 | 遊子水荷浦の段畑/ゆすみずがうらのだんばた |
所在地 | 愛媛県宇和島市遊子水荷浦 |
関連HP | 宇和島市公式ホームページ |
電車・バスで | JR宇和島駅から宇和島バス津の浦行きで1時間、魚泊下車、徒歩20分。または宇和島駅から徒歩10分の宇和島新内港から盛運汽船高速船で20分、水荷浦港下船 |
ドライブで | 松山自動車道西予宇和ICから50km |
駐車場 | だんだん茶屋前(10台)などを利用 |
問い合わせ | 宇和島市文化・スポーツ課 TEL:0895-49-7033/FAX:0895-22-5058 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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