伊良湖岬灯台から日出の石門(ひいのせきもん)まで、太平洋岸に続く約1kmの美しい砂浜で、「日本の渚百選」、「日本の白砂青松100選」にも選定。三島由紀夫の『潮騒』の舞台、神島を眺望し、雄大な太平洋の潮騒の音は「日本の音風景百選」にも選ばれています。恋路ヶ浜を走る渥美サイクリングロードは「日本の道100選」。
藤村の『椰子の実』誕生の舞台となった浜
島崎藤村の『椰子の実』(詩集『落梅集』に収録)に書かれたヤシの流れついたのが、恋路ヶ浜といわれ、民俗学者の柳田國男が伊良湖滞在中にヤシの実が流れ付くのを3度も見たという事をモチーフに作詞されました。
国鉄のデスティネーションキャンペーン『ひろがりの三河湾・尾張路』(昭和54年9月〜11月)にあわせ、昭和54年4月〜6月にかけて北マリアナ諸島口夕島より1000個の椰子の実にココナッツ・メッセージを取り付けて放流。
そのうちの1つが伊良湖岬に漂着しました。
渥美町観光協会では昭和63年から実際に石垣島からプレート(愛のココナツメッセージ)を付けたヤシの実を放流。
平成13年8月3日には第1号が漂着しています。
その椰子の実は、なんと39日間も海上を漂って到達しているのです。
付近は渡り鳥の中継地としても知られ、バードウォッチングにも最適。
壮大なサシバ、ハチクマの渡りは、10月初旬がピークで1日に数千羽もタカが志摩半島目指して伊良湖水道を渡ります。
(サシバ=伊良湖岬→四国→台湾・フィリピン、ハチクマ=伊良湖岬→四国→中国大陸)
恋路ヶ浜駐車場が、渡り鳥の観察場所となっているほか、伊良湖ビューホテルからも渡りが観察できます。
その話を親友の島崎藤村にしたところ、叙情詩「名も知らぬ遠き島より流れよる椰子の実ひとつ」が誕生したのです。
昭和11年、この詩に大中寅二が曲を付け国民歌謡として大ヒットに。
日本文化が南方から伝播してきたという柳田國男の『海上の道』は、この時拾った椰子の実のエピソードが頭にあったのは疑いがありません。
椰子の実
名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実ひとつ
故郷(ふるさと)の岸を離れて 汝(なれ)はそも波に幾月
旧(もと)の樹は 生いや茂れる 枝はなほ 影をやなせる
我もまた渚を枕 孤身(ひとりみ)の浮寝の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば 新なり 流離の憂(うれい)
海の日の沈むを見れば 激(たぎ)り落つ異郷の涙
思いやる 八重の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らむ
恋路ヶ浜 | |
名称 | 恋路ヶ浜/こいじがはま Koijigahama Beach |
所在地 | 愛知県田原市伊良湖恋路浦 |
関連HP | 渥美半島観光ビューロー公式ホームページ |
電車・バスで | JR豊橋駅前から豊橋鉄道バス伊良湖岬行きで1時間29分、終点下車、徒歩5分 |
ドライブで | 東名高速道路豊川ICから約55km |
駐車場 | 138台/無料(大晦日〜元旦有料) |
問い合わせ | 渥美半島観光ビューロー TEL:0531-23-3516 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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