昭和10年に竹内巨麿氏らが当時の戸来村(現・新郷村戸来)を訪れ、「ゴルゴダの丘で磔刑になったはずのキリストは、密かに日本に渡り、新郷村で106歳の天寿を全うしていた」と宣言した「キリストの里伝説」。それ以降、戸来は「キリストの里」として注目をあびることに。そんなキリスト伝承を紹介するビジターセンターが「キリストの里伝承館」です。
キリストの墓は、昭和10年に突然「発見」された!
新郷村にはキリストの墓「発見」以前、キリストに関する伝承はまったくなく、当時も学者やマスコミは眉唾(マユツバ)的なものと批判的に報道しています。
キリストの墓と伝えられる塚も、かつて小さな祠が祀られており、古人が祭壇を設けて祈る雨ごいの霊場だったとのこと。
キリストの墓と同時に「発見」された大石神ピラミッドも、発見当時までは雨乞いの霊場だった聖地で、日照りが続くと、雨乞いの儀式が執り行なわれていました。
新郷村戸来地区には「ナニヤドヤラヨウ、ナニヤドナサレデサァエ・・・」という意味不明の言葉を発しながら踊る伝承の踊り「ナニャドヤラ踊」がありますが、地元では「ヘブライ語の進軍歌」という人もいるほど。
(ただし、民俗学の立場から柳田国男は「要するに、何なりともせよかし、どうなりとなさるがよいと、男に向って呼びかけた恋の歌である」と解説しています)
「生まれたばかりの赤ちゃんは1ヶ月家から外に出さず、初めて外出する際には、その額に墨で十字を書くヤッコの行事が残されています」(新郷村観光協会の話)。
さらに、ダビデの星を代々家紋とする家があるという地だけに、今でも真面目に敬虔に『キリスト祭』(6月第1日曜)が執り行なわれているのです。
キリスト伝承だけでなく旧戸来村の歴史と民俗を詳しく紹介
キリストの墓といわれる塚の近くに建つ「キリストの里伝承館」では、昭和10年、「発見」当時の報道の様子などを客観的に紹介。
さらに、民具・農具などを展示、村の文化を伝える「戸来歴史展示コーナー」、村の伝説、民話、民俗芸能を映像で紹介した「不思議映像ボックス」、昭和初期の生活様式を復元したコーナーなどがあります。
昭和初期の民俗衣装をまとっての記念撮影も可能で、「豆しとぎ作り」(豆しとぎー米粉に潰した豆を混ぜて作ったお供えのお菓子)などの実演会も行なわれています。
「ナニャドヤラ踊」の映像紹介などもあるので、キリストの墓や、同時に発見された「大石神ピラミッド」などを探勝の際にはぜひ寄り道を。
もちろん「大石神ピラミッド」の伝承なども紹介しています。
このキリスト伝承、過去にはイギリスのBBCが『The Japanese Jesus trail』(イエス・キリスト、日本への痕跡/2006年)として取り上げたことがありますが、新郷村にクリスチャンはいないという事実から、「日本人の宗教観にはかなり困惑させられることがある」というのがBBC的な結論でした。
キリストの里伝承館 | |
名称 | キリストの里伝承館/きりすとのさとでんしょうかん |
所在地 | 青森県三戸郡新郷村戸来字野月33-1 |
関連HP | 新郷村公式ホームページ |
電車・バスで | JR八戸駅から南部バス五戸行きで40分、終点下車。南部バス羽井内方面行きに乗り換え30分、キリスト公園下車、すぐ |
ドライブで | 八戸自動車道八戸ICから約35km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | キリストの里伝承館 TEL:0178-78-3741 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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