長良川の中流域、岐阜県美濃市立花にあるレンガ造りの水路式発電所が、長良川発電所。明治43年、名古屋電燈によって建設された歴史あるもので、名古屋市の発展を支えた貴重な産業遺産。レンガ造り2階建ての本館などの発電施設が、国の登録有形文化財に指定されています。
名古屋電燈が長良川に築いた発電所
旧岩村藩の藩士・小林重正は、明治28年4月1日~7月31日に京都・岡崎公園で開かれた『第4回内国勧業博覧会』見学の際に、琵琶湖疏水を利用した水力発電事業(「機械館」の動力源はそれまでの石炭から電力に変更、さらに京都七条から会場近くまで市街電車が運行)を見て長良川での水力発電を立案。
明治30年12月、岐阜県知事から水利許可を得て、岐阜水力電気を設立しますが日清戦争後の不景気で事業継続を断念(明治37年2月に許可は取消に)。
その後、日露戦争の好景気を迎え、名古屋市の電力不足もあって長良川の電源開発は名古屋電燈の事業へと受け継がれたのです(小林重正は飛騨川の発電へと移り、大正13年に瀬戸発電所が完成)。
野口遵の仲介で建設されたのが、長良川発電所。
小林重正の計画をベースにして岐阜県に再申請し、名古屋電燈最初の発電所として建設が進められ、明治43年3月に4200kwの発電所が完成。
明治43年3月16日〜6月13日に完成直後の鶴舞公園(つるまこうえん)を会場に開催された『第10回関西府県連合共進会』(名古屋開府300年記念の噴水塔を建設=現存する噴水塔)の会場の明かりを灯したのは、長良川発電所の電気でした。
当初、ドイツのフォイト社製2330kwの水車3基とドイツのジーメンス社製発電機3基で発電が行なわれましたが、昭和56年に発電力アップのため水車、発電機が管理する中部電力によって新しく取り替えられています。
古いドイツ製の水車・発電機は発電所の前に展示。
長良川唯一の水力発電所の本館、正門、外塀、取水口呑口上部、第一沈砂池防水壁、第二沈砂池排水路暗渠、下須原谷水路橋、日谷水路橋、湯之洞谷水路橋、余水路横断橋など各施設は、国の登録有形文化財に指定されています。
また発電所横には、「小林重正君彰功碑」が立っています。
長良川発電所 | |
名称 | 長良川発電所/ながらがわはつでんしょ |
所在地 | 岐阜県美濃市立花木の末 |
関連HP | 美濃市公式ホームページ |
電車・バスで | 長良川鉄道湯の洞温泉口駅から徒歩5分 |
ドライブで | 東海北陸自動車道美濃ICから約7km |
駐車場 | 3台/無料、湯の洞温泉口駅前 |
問い合わせ | 美濃市教育委員会人づくり文化課 TEL:0575-35-2711 |
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