群馬県利根郡みなかみ町、川場村、片品村の境にある群馬県を代表する名峰のひとつが武尊山(ほたかやま)。標高2158.0m、山頂には、一等三角点が置かれています。深田久弥の選んだ日本百名山の一座で、一等三角点のある沖武尊のほか、中ノ岳、家ノ串、前武尊、剣ヶ峰、剣ヶ峰山(西武尊)、獅子ヶ鼻山、西峰の8峰で形成されています。
武尊神社からの登山道が最短コース
ピークが多いのは、武尊山が120万~100万年前に形成された成層火山だから。
深田久弥の選んだ日本百名山のうち、半数近くが第四紀の火山ですが、武尊山もそのひとつ。
川場谷の源頭部を囲んでピークが連なる馬蹄形の谷は、100万年前の火山の噴火後、火山の山頂部(山体)が崩壊して誕生したカルデラだと推測できます。
武尊山北西部、登山口に懸かる裏見の滝は、武尊火山から流れ出た安山岩溶岩流の末端部。
硬い溶岩層が崖となり滝が懸っているのです(滝壺は柔らかい火砕物層)。
登山道途中の急坂は、安山岩溶岩を崖をよじ登る部分なのです。
玉原高原(たんばらこうげん)など山麓、山腹にはブナ林が広がり、新緑、紅葉の美しさを際立てています。
かつての成層火山も山体の浸食が進み、武尊九十九谷ともいわれるほどの谷を形成。
ツキノワグマの生息数は群馬県内随一といわれています。
豊かで変化に富んだ自然を有する山ですが、標高2000m以上では唯一、国立公園、国定公園、県立公園などの自然公園に指定されていない山になっています。
山名については深田久弥も、 「武尊をホタカと読める人は、山好き以外にはあまりいないだろう」と記しています。
山麓の武尊神社も、明治の神仏分離以前は、大日如来を祀る神仏習合の信仰で、修験道の地だったので、日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征の故事によるとの話は後付とも推測できます。
北アルプスの穂高岳は、穂が高い、つまり秀でた山容の意なので、武尊山も修験道時代には穂が高いだった可能性が高いのです。
沖武尊(おきほたか)、前武尊、西武尊が、奥穂高、前穂高、西穂高と重なるため、登山家などは上州武尊山と呼んでいます。
山頂へは、最短コースの武尊神社(みなかみ町)からで、所要3時間少々。
旧武尊高原川場キャンプ場・川場口(高手新道)からは、高手山、西峰、剣ヶ峰山縦走して武尊山に至るルートで所要5時間。
川場村の川場野営場コースは、前武尊経由で所要4時間40分。
片品村の武尊牧場キャンプ場を起点とする武尊牧場コースは、武尊避難小屋(須原尾根上部8合目/トイレなどもない避難施設)経由で所要時間は3時間30分。
入山にあたっては、最新の情報の入手が必要です。
武尊山 | |
名称 | 武尊山/ほたかやま |
所在地 | 群馬県利根郡みなかみ町藤原・利根郡川場村川場湯原 |
関連HP | 川場村観光協会公式ホームページ |
問い合わせ | 川場村観光協会 TEL:0278-52-3412 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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