宮崎県宮崎市、日南海岸を代表する景勝地の青島。空から眺めると、鬼の洗濯岩と通称される波状岩が取り巻いているのがよくわかります。青々と茂る島内は、ビロウ(被子植物類ヤシ科)4300本、最高樹齢300年に代表される青島亜熱帯性植物群落で、青島神社の神域として保護されてきたものです。
【絶景を読み解く】波状岩と最北のヤシ科植物が絶景を生む
絶景を生み出す要素のひとつが、「隆起海床と奇形波蝕痕」。
「鬼の洗濯板」と称される波状岩は、数百万年前に深い海で堆積した地層(宮崎層群)が傾きながら隆起、浅い海で波の浸食によって削られ、さらに隆起し海面に顔を出したものです。
「鬼の洗濯板」の凸部が硬い砂岩層、凹部は軟らかい泥岩層で、厚みとしてはわずか数十cm程度という砂岩層と泥岩層のセットは、海底で起こった巨大地震によって発生した土石流のような流れから堆積したと推測され、過去、少なくとも数百回の大地震が起こっていたことがこの洗濯状の岩から読み取ることができるのです。
もうひとつの要素が青島の中央部分の「青島亜熱帯性植物群落」。
熱帯性・亜熱帯性の植物27種を含む200種が繁茂していますが、ビロウなど、北半球最北のヤシ科植物の群生地にもなっています。
なぜ、ヤシ科の植物が茂っているのかは、南方の島から種が運ばれて繁茂したという漂着帰化植物説、温暖な縄文時代に広く繁茂していた植物が、気候の変化した後、沖に黒潮が流れる温暖なこの島の海岸部に残存したとする遺存説の2説があり、遺存説が有力です。
つまりは、ダイナミックな地質と、気候変動から生き残った南方系植物が、この洗濯岩に囲まれた青々とした島という絶景を生み出したことになります。
【空撮!ニッポンの絶景】青島・鬼の洗濯板|宮崎県 | |
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