兵庫県神戸市西区、明石川の支流、伊川の奥に建つ神戸屈指の天台宗の古刹が太山寺(たいさんじ)。『播州太山寺縁起』によれば元正天皇の勅願寺として、霊亀2年(716年)、藤原宇合(ふじわらのうまかい=藤原不比等の子)の建立と伝えます。鎌倉時代後期築の本堂は国宝です。
福原京があった時代、平家武将の尊崇を受けた寺
寺伝によれば、藤原鎌足の子、定恵和尚の開山。
霊亀2年(716年)に藤原鎌足の孫、藤原不比等の子の藤原宇合が明石浦摩耶谷の温泉で療養中、薬師如来の夢告を受け、七堂伽藍を整備、薬師如来の尊像を安置したと伝えられています。
ただし、実際の創建は平安時代ともいわれ、定かでありません。
南北朝時代の建武中興の際には南朝方につき支院41ヶ坊に僧兵を有していた大寺だったといいますが(現在は龍象院、成就院、遍照院、安養院、歓喜院の五ヶ坊のみ)、国宝に指定される本堂(鎌倉時代築)が往時の繁栄を偲ばせています。
永仁年間(1293~1299年)再建の堂々たる本堂は、仏教の大衆化に伴う新しい仏殿のスタイルが完成した当初のもの。
後白河、後宇多、崇光の三天皇が訪れた記録も残り、平安時代末に平清盛が遷都しようとした福原京(現在の神戸市兵庫区平野に都を遷そうとした計画、170日ほどで瓦解します)の時代、平家一門の尊崇も受け、平家一門が納めたという法華経など平家ゆかりと伝わる品々を収蔵しています。
平清盛が福原にこだわったのは、大輪田泊を日宋貿易の拠点にしたから。
大輪田泊は弘仁3年(812年)に修築という記録もあるので(『日本後紀』)、太山寺の繁栄の背景にもそんな地の利があったのかもしれません。
室町時代建立の仁王門は国の重要文化財、貞享5年(1688年)建立の三重塔は兵庫県の文化財に指定されています。
一帯の10.95haは、太山寺の原生林として天然記念物に指定。
塔頭(たっちゅう=子院)の安養院にある安養院庭園は国の名勝になっていて(神戸市内唯一の国指定名勝庭園)、例年4月27日~5月5日、11月15日~11月30日に特別公開されています。
書院前庭として作られた庭園は安土桃山時代の枯山水庭園です。
太山寺 | |
名称 | 太山寺/たいさんじ |
所在地 | 兵庫県神戸市西区伊川谷町前開224 |
関連HP | 太山寺公式ホームページ |
ドライブで | 阪神高速道路7号北神戸線布施畑西出口から約2km。または、神戸淡路鳴門自動車道布施畑ICから約2.5km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 太山寺 TEL:078-976-6658 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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