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『邪馬台国九州説』の有力候補、平塚川添遺跡は、王都にふさわしい内容!

平塚川添遺跡

『邪馬台国九州説』の有力な候補地となっているのが、福岡県朝倉市にある平塚川添遺跡(ひらつかかわぞえいせき)。旧石器時代から始まって多くの遺跡が分布する土地ですが、平塚川添遺跡は、弥生時代中期前半〜古墳時代初頭の大規模な環濠集落の跡で、発掘調査で合計7重の濠(ほり)をもつ集落であることが判明しています。

まずは『魏志倭人伝』から九州の古代国家を紐解く

平塚川添遺跡

女王・卑弥呼(ひみこ)の治める邪馬台国への旅程が記された有名な『魏志倭人伝』は、正確には中国の歴史書『三国志』中の「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝(うがんせんびとういでん)倭人条の略称で、3世紀の倭国の姿を描いた貴重な歴史書です(当時、倭国の歴史は、倭国側では文字で記録されていません)。

それぞれのクニと戸数が記されていて、對馬國千余戸、一支國(壱岐)三千許家、末廬國(まつらこく)四千余戸、伊都國千余戸、奴國二万余戸、不彌國(ふみこく)千余家、投馬國五萬余戸、女王國七萬余戸となっています。

このうち、對馬國(現・長崎県対馬市)では大陸系の土器が多数出土する三根遺跡が王都と推測され、一支國の王都は、原の辻遺跡(はるのつじいせき/長崎県壱岐市)と特定されています。
海を渡った末廬國は、現在の佐賀県唐津市、王都として注目されるのが千々賀遺跡、王墓は桜馬場遺跡です。
続く伊都國は、現在の糸島地方(福岡県北西部)で、王都は糸島市の三雲・井原遺跡群、曽根遺跡群一帯だと推測されています。
「漢委奴國王」の金印で知られる奴國(なこく)は、2万戸を有する北九州の大国で、福岡県春日市の須玖岡本遺跡(すぐおかもといせき)が王都の候補地。

不彌國の王都は、糟屋地域説と嘉穂地域説があり(不彌國は「千餘家」という小国)、残念ながらまだ未解明です。
そして『邪馬台国畿内説』の論者が九州最後のクニ、もしくは瀬戸内海の岡山、山陰の出雲と考えるのが邪馬台国に次ぐ大国の投馬國で、不彌国から再び「水行二十日」(瀬戸内航行の半分くらいの行程)という長旅で到達しています。

周囲に濠が巡るのは排水だけでなく、集落防衛のため!

『邪馬台国九州説』の論者は、この水行というのは海ではなく河川交通としていますが、河川内の停泊期間などを合わせると、平塚川添遺跡は、投馬國の王都とも推測できます。

集落を囲んで7重にもわたる濠を巡らせているのは、卑弥呼の統治に至るまでの間、2世紀後半に、倭国の大乱の時期があったからで、戦乱に明け暮れるため、強固な防御態勢が必要だったことがわかります。
しかも最大時期で7重にもなる濠を備えた王都なら、卑弥呼の暮らした都に違いない、九州説の論者はそう考えているのです。

その証として挙げられるのが箱式石棺の出土数。
邪馬台国時代の墓制である箱式石棺の出土数が、平塚川添遺跡のある朝倉市がとくに多いのです。
しかも有名な吉野ヶ里遺跡でさえ40haという規模なのに対し、平塚川添遺跡一帯はなんと450haという広大な規模が推測され、まさに投馬國の王都、あるいは邪馬台国だと推測できるのです。

「この遺跡がもっとも拡大した弥生時代後期後半は中国史書に伝える倭国大乱から耶馬台国の時代に相当」(文化庁)ということなので、クニの王都であることは明らか。
はたして卑弥呼のいた邪馬台国だったのでしょうか?

ちなみに『邪馬台国畿内説』は、桜井市の纏向遺跡(まきむくいせき)が、近くに最古の巨大前方後円墳とされる箸墓古墳もあって決定的な王都だとしています。

しかし、九州は戦争を介在して国家の形成がとくに早く進んだ場所というのは共通の見解。
立地から中国など大陸との交易も盛んで、先進の文化をいち早く取り込んだ土地です。
2世紀の段階で、倭国の中心は九州にあったことは間違いがなく、はたして3世紀に畿内に権力の中枢が移ったのかが意見の分かれるところです。

『邪馬台国九州説』の有力候補、平塚川添遺跡は、王都にふさわしい内容!
名称 平塚川添遺跡/ひらつかかわぞえいせき
所在地 福岡県朝倉市平塚
関連HP 朝倉市公式ホームページ
電車・バスで 西鉄甘木鉄道上浦駅から徒歩20分
ドライブで 大分自動車道甘木ICから約2km
駐車場 70台/無料
問い合わせ 平塚川添遺跡公園 TEL:0946-21-7966
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

邪馬台国の王都、かなり有力な遺跡が奈良県に!

3世紀末の中国の史書『魏志倭人伝』に記される女王・卑弥呼が治める邪馬台国(やまたいこく)。九州説では佐賀県の吉野ヶ里遺跡(よしのがりいせき)ではないかと推測する人が多いのですが、畿内説の有力な候補として浮上しているのが奈良県桜井市の纒向遺跡

 

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