広島県呉市宝町にある戦艦「大和」を建造した呉の造船技術を今に伝えるミュージアムが大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館)。戦艦「大和」の10分の1サイズの模型展示のほか、日本一の海軍工廠の街として栄えた呉の歴史、そして戦艦「大和」の構造や今に伝わるその技術などを詳細に紹介しています。
実は資料が少なく、謎の巨艦、戦艦「大和」
明治38年、当時東洋の小国にすぎなかった日本の連合艦隊が、大国ロシアのバルチック艦隊を破ると、日本海軍は突然世界の舞台に浮上し、その後の大艦巨砲主義へと突進。
そして昭和16年12月16日、当時1億4287万円(現在の価値では、約2604億762万円)もの資金をつぎ込み完成したのが、戦艦「大和」です。
アメリカ軍の量的優位性を、質的な優位性でカバーしようという考えから、当時の最新技術の結晶として誕生したのが戦艦「大和」。
世界最大の46センチ主砲を備え、冷暖房、エレベーター付の豪華さは 「大和ホテル」と揶揄されたほど。
完成時に世界の大勢は航空戦の時代に移行しており、実戦では確たる成果をあげることなく、昭和20年4月九州坊ノ岬沖で、乗組員とともに海底に沈没。
大和ミュージアムでは、入口を入ってすぐの『大和ひろば』に実物の10分の1サイズの戦艦「大和」の模型を展示しています。
呉海軍工廠での設計資料や当時の写真、元乗組員への聞き取り調査などを経て、実に全長26mもの超巨大模型を完成させたもの。
実は、戦艦「大和」は極秘で建造された(呉でも市民に至るまで機密保持は徹底されていました)ことと、終戦時の徹底した資料の焼却で、断片的にしか実像がわからないのです。
そのため、正確な模型をつくることは至難の技だったとのことで、大和の海底調査、発見された資料などで判明した情報を盛り込んでいるのです。
さらに、偵察機の追加搭載など、追加で新しい情報が入れば、その都度、更新しているのだとか。
映画『男たちの大和/YAMATO』の撮影時には、CGの合成用素材として使用されています。
館内1階の大型資料展示室には、零式艦上戦闘機六二型、九三式魚雷・二式魚雷、特攻兵器「回天」十型(試作型)、特殊潜航艇「海龍」(後期量産型)などの実物も展示されています。
このほか、館内では、明治22年に呉鎮守府、明治36年に呉海軍工廠が設置され、軍都、そして日本一の海軍工廠の街として栄えた呉の歴史、その技術の結晶としての戦艦「大和」、日本の復興と高度成長を支え現代にも受け継がれた戦艦「大和」の技術、戦後の平和産業港湾都市としての再生などを詳しく紹介しています。
大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館)の所蔵資料は、日本遺産「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」の構成資産になっています。
大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館) | |
名称 | 大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館)/やまとみゅーじあむ(くれしかいじれきしはくぶつかん) |
所在地 | 広島県呉市宝町5-20 |
関連HP | 大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館)公式ホームページ |
電車・バスで | JR呉駅から徒歩5分 |
ドライブで | 広島呉道路(クレアライン)呉ICから約2km |
駐車場 | 大和ミュージアム駐車場(285台/有料) |
問い合わせ | 大和ミュージアム(呉市海事歴史博物館) TEL:0823-25-3017 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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