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安積歴史博物館(旧福島県尋常中学校本館)

安積歴史博物館(旧福島県尋常中学校本館)

福島県郡山市開成の福島県立安積高等学校の敷地内にあるミュージアムが安積歴史博物館(あさかれきしはくぶつかん)。旧福島県尋常中学校本館を再生したもので、国の重要文化財。明治11年、明治政府の士族援産政策で開拓された安積。開拓直後の安積に明治22年に開校した福島県尋常中学校本館の校舎が現存しています。

明治の学校建築がそのままに現存!

明治17年9月11日に、旧福島町(現・福島市立福島第一小学校校地)に開校した福島中学校。
明治19年の学校令で、福島県の中心的な中等教育機関となりました(福島県唯一の旧制中学校)。
明治22年3月30日に現在地に移転し、福島県尋常中学校として現存する本館が建設されています。
明治34年に福島県立安積中学校に改称、戦後、新学制で福島県立安積高等学校になっています。

昭和59年に安積高校の創立百周年記念事業で博物館として開館。
平成25年からは公益財団法人となって運営されています。

木造2階建ての擬洋風建築は、イタリア・ルネサンス風。
基礎は、安山岩の切石積みで、正面玄関には八角形の板石を敷きつめています。
建築にあたっては、当時の桑野村の人々が土地と労力を惜しみなく提供、完成した当時は、「桑野御殿」と呼ばれたのです。

往時のままに、往時の土地に建つという全国的にも希少な学校建築のため、昭和53年、文化庁の指導で総事業費2億円をかけて修築、往時の状態に戻しています。

平成21年放送のNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』では、秋山真之と正岡子規が通った神田共立学校という設定でロケ地にもなり、注目を集めました。

平成23年の東日本大震災で大きな被害を受けたものの、復旧工事で見事に美しい姿に戻されています。

ちなみに、「安高」(あんこう)と通称される福島県内屈指の進学校(平成13年から男女共学)、福島県立安積高等学校の卒業生は、文豪・高山樗牛、文学者・久米正雄、世界的な歴史学者・朝河貫一、漫画家・佐藤六朗をはじめ、郡山市長、福島県知事も輩出するなど各界で活躍しています。

同じ郡山市には郡山市開成館(明治7年、区会所として建築)、金透記念館(きんとうきねんかん/明治9年、金透小学校として建築)という2つの擬洋風建築も現存しています。

安積疏水と県内唯一の旧制中学校の関係とは!?

明治政府による東北開発は、一帯が原野だった安積を潤す安積疏水(あさかそすい)の開削から始まっています。
安積原野は、福島県の士族結社によって明治5年、安積郡桑野村を開墾。

しかし、農業用水が不足することから開墾は困難を極め、これを打開するため、猪苗代湖を利用した灌漑用水として安積疏水が明治12年に着工します。
オランダ人技師ファン・ドールンの指導のもと、わずか5年で完成。
これに並行して明治11年から明治政府の士族援産政策として、九州の旧久留米藩の藩士をはじめ、全国各地の8つの旧藩から士族が移住し、開墾を進めます。

福島県会議員7名の建議で、明治22年3月、福島にあった福島中学校は、そんな新開地、安積開拓の地(安積郡桑野村)に建てられた新校舎に移転、安積の校風である、「開拓精神」の基礎が誕生したのです。

こうした経緯から、安積歴史博物館は安積疏水関連遺産として、経済産業省の近代化産業遺産(「東北地方の産業振興の基礎を築いた水資源・交通・都市基盤整備の歩みを物語る近代化産業遺産群」)にも認定されています。
また、日本遺産「未来を拓いた『一本の水路』」の構成資産にもなっています。

安積歴史博物館(旧福島県尋常中学校本館)
名称 安積歴史博物館(旧福島県尋常中学校本館)/あさかれきしはくぶつかん(きゅうふくしまけんじんじょうしょうがっこうほんかん)
所在地 福島県郡山市開成5-25-63
関連HP 安積歴史博物館公式ホームページ
電車・バスで JR郡山駅から福島交通バスで安積高校(あさかこうこう)下車
ドライブで 東北自動車道郡山ICから約5.5km
駐車場 20台/無料
問い合わせ 安積歴史博物館 TEL:024-938-0778/FAX:024-953-7026
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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