甲子旭岳に源を発する阿武隈川の本流に懸かる滝で、「日本の滝百選」のひとつ選定の名瀑が乙字ヶ滝(おつじがたき)。白河盆地と須賀川盆地の境にある渓流に落ちる滝で、落差は6mほどですが川幅いっぱいに懸かるため豪快。乙の字をなして激しい水しぶきをあげて流れ落ちることが名前の由来となっています。
「日本の滝百選」選定の名瀑には芭蕉も訪ねた
1689(元禄2)年旧暦4月29日(西暦6月16日)、松尾芭蕉は『奥の細道』の道中で、須賀川を発って石河の滝(乙字ヶ滝)に寄り道しています。連日の雨で川越えができないため、須賀川滞在を1泊延ばして、滝見物となったのです。
それでも増水のため下流側の横断が不可能で、渡舟場(田中の渡し)で対岸へと渡り、上流へと歩いています。
「五月雨(さみだれ)の滝降りうづむ水(み)かさ哉」。
滝見不動堂あたりからなら滝の全景を眺めることができ、梅雨時や雨後なら100mの川幅いっぱいに落下する様子が「ミニナイヤガラの滝」のように感じられます。
滝見不動堂は、歴代白河藩主が滝見に訪れ、堂宇の修復などを行なってきたといいます。
1813(文化10)年、江戸の俳人・一可が竜崎須賀川(滝見不動堂の氏子が住む地域)の俳人たちの協力で建立された芭蕉句碑も立っています。
江戸時代には鮭が遡上し、滝で捕れた初漁の鮭は、白河藩主に献上。
幕末の1862(文久2)年には、舟運のため、川の中央部に通船掘割が設けられましたが、陸上交通に押されて明治10年ごろには廃止されました。
乙字ヶ滝 | |
名称 | 乙字ヶ滝/おつじがたき |
所在地 | 福島県石川郡玉川村竜崎滝山・須賀川市前田川深田 |
関連HP | 玉川村公式ホームページ 須賀川市公式ホームページ |
電車・バスで | JR須賀川駅から福島交通バス竜崎経由石川行きで20分、乙字ヶ滝下車 |
ドライブで | 東北道須賀川ICから約7.4km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 玉川村企画産業課 TEL:0247-57-4629 須賀川観光協会 TEL:0248-88-9144 |
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