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気多大社

気多大社

石川県羽咋市にある、能登国(律令時代に能登半島にあった国)の一宮だったのが気多大社(氣多大社)。日本海に面して鎮座し、祭神の大己貴命(おおくにぬしのみこと)は出雲から舟で能登に入り、能登を開拓した後、守護神としてこの地に鎮まったとされています。5棟の社殿が国の重要文化財で、背後の森は社叢「入らずの森」(国の天然記念物)。

大己貴命が出雲から300余神を率いて能登へ!

海に面して建つ一の鳥居
拝殿は国の重要文化財

『気多神社縁起』によれば、第8代孝元天皇の御代(在位年は不詳)、大己貴命が出雲から300余神を率いて能登にやってきたとされています。
七尾市にある気多本宮(能登生国玉比古神社/のといくくにたまひこじんじゃ)が元宮とする説もありますが定かでありません。
いずれにしろ、古代に大陸と交流し、日本のひとつの中心として発展した出雲との関係をうかがい知ることができます。

奈良時代には、越中国司として赴任した大伴家持(おおとものやかもち)も天平20年(748年)に参詣しています。
「之乎路(しをぢ)から直超え(ただこえ)来れば羽咋(はくい)の海朝凪ぎ(あさなぎ)したり船楫(かぢ)もがも」(之乎路からまっすぐに山を越えて来たら海は風もなく穏やかだ。船と梶があればいいのだが)という歌が『万葉集』に残されています(『万葉集』巻17 4025番)。

天平13年(741年)〜天平宝字元年(757年)の間、もともと越前国から独立して能登国となった能登四郡(羽咋郡、能登郡、鳳至郡、珠洲郡)は、越中国に編入。
そのために国司となった大伴家持が視察のために巡行したというわけなのです。
この時の、越中国一宮は気多大社だったとされ、天平の昔からその神威が都に届いていたことがよくわかります。

気多大社近くの寺家遺跡は縄文前期から中世にわたっての遺跡で、祭祀関係の遺構や出土品からも、古代から中世にかけて、北陸鎮護、さらには朝鮮半島との交流や東北経営の重要な祭祀の地だったと推測できます。

拝殿など5棟が国の重文、社殿背後には「入らずの森」が!

神門(国の重要文化財)
本殿横の摂社・白山神社(国の重要文化財)

現存する本殿は、天明7年(1787年)築、拝殿は、承応2年(1653年)頃、神門は、天正12年(1584年)頃の造営でいずれも国の重要文化財。
本殿向かって左手にある摂社・若宮神社は永禄12年(1569年)、能登守護・畠山氏の再建で国の重要文化財。
本殿向かって右手の摂社・白山神社は本殿と同じ天明7年(1787年)築で、こちらも国の重要文化財です。

注目は、境内裏手にある原始の森。
「入らずの森」と呼ばれる社叢で、タブ、ツバキ、シイ、クスノキ、カラタチなどの広葉樹が茂り、国の天然記念物に指定されています。
その「入らずの森」に奥宮が鎮座していますが、参拝することはできず、遙拝所が用意されています。
藩政時代には加賀藩・前田家の尊崇を受けていますが(前田利家・まつも参拝)、その前田家は社叢も手厚く保護しています。

近年は縁結びのパワースポットとしても有名で、毎月1日の『ついたち結び』は、国指定重要文化財の拝殿で、無料の縁結び祈願を受けることができます(メールでの祈願も可能、ただし願いが叶ったら気多大社にお礼の参拝をするのが習わし)。
なおゴールデンウィークと7月1日〜8月31日は『縁結び祭』で、縁結びの無料お祓いを実施。
さらに旧盆の8月13日・14日は『心結び大祭』で、無料お祓い、さらには巫女の衣装で身を清める『無料みそぎ体験』が可能です。
12月16日には、古式ゆかしい『鵜祭』(うまつり)が斎行されます。
大己貴命が鹿島(七尾市鵜浦町)に上陸の際、地主神・御門主比古神が鵜を献上したのが始まりともいわれる祭礼です。
七尾市鵜浦町で生け捕った1羽の鵜を2泊3日かけて運ぶもの。

ちなみに気多大社は、神社本庁・文部科学省との最高裁に至る4年にわたる裁判の末、神社本庁に属さない単立神社となっています。
なお、気多大社と表記していますが、正式名は氣多大社です。

「入らずの森」の遥拝所
タブノキなどの照葉樹が茂っています
気多大社
名称 気多大社/けたたいしゃ
所在地 石川県羽咋市寺家町ク1-1
関連HP 気多大社公式ホームページ
電車・バスで JR羽咋駅からタクシーで10分
ドライブで のと里山海道柳田ICから約1.6km
駐車場 300台/無料
問い合わせ 気多大社 TEL:0767-22-0602/FAX:0767-22-5515
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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