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岩手山

岩手県八幡平市、滝沢市、雫石町にまたがる岩手山は標高2038.0mでの成層火山で、岩手県の最高峰。山体の半分は富士山のような美しい成層火山の稜線を見せ、残りの半分は噴火によってできた複雑な複合火山となっており、その姿から「南部片富士」とも呼ばれています。東岩手火山の外輪山の最高点が岩手山の山頂です。

南部片富士と呼ばれる岩手の名峰

西岩手・東岩手の2つの成層火山から成る複合火山ですが、過去に少なくとも7回の大規模山体崩壊が発生し、山体崩壊の回数は、国内の活火山の中で最多となっています。

岩手山と鬼ヶ城の稜線で続く西の黒倉山(1570m)の間に西岩手火山のカルデラ(凹部)があり、中央火口丘の中に、御釜湖と御苗代湖という2つの火口湖が水をたたえています。
さらに西に続く犬倉山(1408m)の山腹が噴気を上げる網張元湯で網張温泉の源泉になっています。

「ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな 」(石川啄木『一握の砂』)の「ふるさとの山」とはもちろん岩手山のこと。
十和田八幡平国立公園に指定され、深田久弥の『日本百名山』にも選定。
山頂(薬師岳)には一等三角点「岩手山」があるため、一等三角点のある『日本百名山』にもなっています。

一般的に、東の盛岡市街側から見る姿は、まさに「南部富士」的な山容で「表岩手」、逆に北の八幡平市、南の雫石町側からは外輪山が連なり、「裏岩手」と呼ばれています。

西岩手火山の火口壁から東岩手火山の裾(不動平と呼ぶ第一火口原)にかけて岩手山高山植物帯(国の天然記念物)という高山植物の群落になっており、夏には火山荒原にコマクサ、イワブクロ、イワテハタザオ、タカネキスミレなどが咲き乱れます。

最高点から東北東へ、八幡平市、滝沢市の境界線が伸びていますが、その途中に第一噴出口跡、第二噴出口跡があり、その山麓が焼走り熔岩流(やけはしりようがんりゅう)の岩海です。
享保16年12月(1732年1月)、側火口から流出した焼走り溶岩流の岩海です。

馬返しからの「柳沢コース」がメインルート

登山道は焼走り熔岩流を起点とする焼走りコース(登り4時間30分)、網張温泉(「休暇村岩手網張温泉」)のリフトを使う網張コース(登り4時間)、御神坂駐車場からの御神坂コース(登り4時間30分)、馬返し駐車場からの馬返し(柳沢)コース(登り4時間30分)、松川温泉コース(登り5時間)などが整備されています。

滝沢市の馬返し(標高633m)を登山口とする「柳沢コース」は、岩手山の代表的な登山コースで、8合目に避難小屋が設置され、7月1日の山開きから10月の体育の日まで管理人が常駐しています(宿泊協力金が必要、毛布貸出、カップラーメンなどの販売あり/利用にあたっては事前に滝沢市に確認を)。

御神坂駐車場からの御神坂コースの9合目、標高1820mに不動平避難小屋があります。
八幡平市側・焼走りコースの標高1775m地点にも平笠不動避難小屋がありますが、不動平避難小屋とともに備品などの備えはなく、純粋な避難小屋になっています。

今もなお活動を続ける火山のため登山にあたっては、火山活動に対する注意が必要(山頂下と三ッ石山の下にはマグマ溜まりがあります)。

岩手山
名称 岩手山/いわてさん
所在地 岩手県八幡平市松尾寄木・滝沢市上岩手山・岩手郡雫石町長山
電車・バスで JR大更駅からタクシーで20分
ドライブで 東北自動車道西根ICから約14kmで焼走り登山口(岩手山焼走り国際交流村)
駐車場 御神坂駐車場(40台/無料)、岩手山焼走り国際交流村駐車場(100台/無料)、馬返し駐車場(100台/無料)
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

岩手山「鷲」雪形

南部富士と呼ばれる岩手山(岩手県八幡平市・滝沢市・雫石町)ですが、巌鷲山(がんじゅさん)という名があるように、春、雪解けとともに表岩手側から眺めると、山頂の岩肌が鷲の形(鷲の雪形)になることから、岩鷲山、転じて巌鷲山とも呼ばれていたのです。

岩手山で山体膨張を観測、火山活動が高まっている可能性が

2024年8月21日、気象庁(仙台管区気象台)は、岩手山の山体膨張の観測を発表、今後、火山性地震の増加や火山性微動の発生など火山活動がさらに高まった場合には、現在の噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)から噴火警戒レベル2(火口周辺規制

 

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