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橋野鉄鉱山・橋野高炉跡

橋野鉄鉱山・橋野高炉跡

岩手県釜石市橋野町にある幕末に建設された「近代製鉄発祥の地」ともいえる地が、橋野鉄鉱山・橋野高炉跡。那珂湊にあった水戸藩の反射炉に大砲用の銑鉄(せんてつ)を供給するため南部藩によって建設された高炉で、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産になっています。

世界遺産登録、日本最古の洋式高炉跡を見学

高炉から南へ2.6kmの地点に鉄鉱石を採石した橋野鉄鉱山の採掘坑跡が残され、その途中には運搬路跡、高炉周辺には採掘場から運ばれた鉄鉱石を砕いた種焼場・種積場・種砕水車場跡、高炉の事務管理を行った御日払所跡、鍛冶や大工の長屋跡などが残されています。

現在、公開され、見学ができるのが橋野高炉跡だけで、採掘場跡、運搬路跡などは非公開となっています。
橋野高炉跡は、近代製鉄の父と呼ばれる盛岡藩士・大島高任(おおしまたかとう)の指導で築造された現存する日本最古の洋式高炉跡。
橋野鉄鉱山インフォメーションセンターの駐車場に車を入れ、橋野高炉跡まで300mほど歩きます。

橋野高炉の仮高炉(現在の三番高炉)が建設されたのは、安政5年(1858年)〜安政6年(1859年)。
安政5年(1858年)4月、井伊直弼(いいなおすけ)が大老に就任すると、米国総領事タウンゼント・ハリスから迫られていた日米通商航海条約を無勅許で調印、さらに徳川家茂の将軍継嗣指名を断行しました(孝明天皇は攘夷論者)。
反対派の徳川斉昭らの動きを封じるため、井伊直弼は安政の大獄と呼ばれる大弾圧を開始。
その井伊直弼は、安政7年(1860年)3月3日、桜田門外の変で暗殺されてしまいます。

安政の大獄の余波を受け、一時は閉鎖が検討されましたが、大砲建設の銑鉄を供給する有力な鉄山であったことから高炉は南部藩直営で一番高炉と二番高炉が建設されたのです。
明治27年の操業終了までの間、釜石地域には7ヶ所13基の高炉が立ち並び、その後「鉄の町」釜石に発展を遂げるベースとなったのです。

高炉跡周辺のみ見学可能

現存する高炉跡は、花崗岩の基壇の上に花崗岩の石組がのり、南側に送風のためのフイゴ座(送風装置)、東側に湯出し口が設置されています。
フイゴを動かすために、水路を引いて水車を回していました。
高炉中央には炉底塊(ろていかい)といわれる、流れきれずに炉底にたまった銑鉄が残されており、磁石を近づけるとくっつきます。

橋野鉄鉱山は、三陸ジオパークのジオサイトにもなっています。

より詳しく知りたい人は、橋野鉄鉱山インフォメーションセンター(パネル展示と映像で橋野鉄鉱山をわかりやすく解説)を見学するか、釜石観光ボランティアガイド会のガイド(釜石のことを知り尽くしたベテランガイドの案内、有料/釜石観光物産協会に事前予約が必要)をお願いするのが賢明。

ちなみに世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産は、ほかに製鉄・製鋼分野では萩(萩反射炉、大板山たたら製鉄遺跡等)、鹿児島(集成館)、韮山(韮山反射炉)、北九州(官営八幡製鉄所関連施設)があります。

橋野鉄鉱山・橋野高炉跡
名称 橋野鉄鉱山・橋野高炉跡/はしのてっこうざん・はしのこうろあと
所在地 岩手県釜石市橋野町第2地割15
関連HP 釜石市公式ホームページ
ドライブで 釜石自動車道遠野ICから約27km
駐車場 90台/無料
問い合わせ 橋野鉄鉱山インフォメーションセンター TEL:0193-54-5250
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

萩反射炉

萩市街の北東、国道191号沿いの丘陵地に建つ萩反射炉。幕末の安政3年(1856年)に長州藩が大砲を造るために建設した反射炉(西洋式の金属溶解炉)で、近世の反射炉としては静岡県韮山とここにしか現存しない貴重なもの。世界遺産「明治日本の産業革命

韮山反射炉

韮山代官の江川英龍(えがわひでたつ=江川太郎左衛門)が伊豆国韮山(現・伊豆の国市)に建造した、日本最初の溶鉱炉が韮山反射炉。黒船の来航による国防の重要性から、大砲を鋳造するためのに造られたもので、高さ15.8mのレンガ造り。通商産業省認定の

旧集成館反射炉跡

日本初の近代的な工場群である「集成館」を仙巌園内に設けた薩摩藩主・島津斉彬(しまづなりあきら)ですが、藩の富国強兵、そして外国船への備えから嘉永4年(1851年)、オランダの技術書の翻訳書を参考に西欧の鋳造技術を導入し、大砲や武器を鋳造する

東田第一高炉跡

明治34年に操業を開始した官営八幡製鐵所。その第一高炉(第10次改修高炉)一帯は史跡公園として公開され、内部の見学ができるほか、パネルなどの展示で近代製鉄発祥の地としての歴史を学ぶことができます。「官営八幡製鉄所関連施設」として世界文化遺産

 

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