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縄文時代、全国に運ばれた「ヒスイ・石斧」の工房が糸魚川に!

全国の縄文遺跡から出土する宝石(アクセサリー)の代表がヒスイ。加工されたヒスイ製品の大部分は、現在の新潟県糸魚川市でつくられています。そのヒスイ工房の集落跡が、長者ケ原遺跡公園。東京ドーム3個分、13.6haもの面積を有する遺跡で、ヒスイの玉の生産・交易拠点の遺構です。

縄文時代には日本列島ではヒスイ文明が栄えていた!

糸魚川市の小滝川ヒスイ峡

鉄器、銅器などの金属の使用を知らなかった縄文人は、石を使ってさまざまな道具を生み出していました。
なかでも重要な道具が石斧(せきふ)で、木を倒したり、土を掘るのに欠かせない道具となっていました。
この石斧を製造する工房があったのは、長者ケ原の集落で、姫川の石を原材料に、小滝川や青海川で産する強度の高いヒスイを使って加工していたのだと推測されています。
石斧づくりにはヒスイが欠かせなかったため、全国の縄文集落の石斧の多くはこの長者ケ原製で、ここから各地へと輸送されていました。

しかも5000年前から始まったと推測されるヒスイの加工ですが、ヒスイの中でも硬玉(こうぎょく)を使った加工では、長者ケ原が世界最古の歴史を有しています。

その後、石斧作りの技法はヒスイの加工にも応用されるようになり、縄文時代中期になると長さが5cmを超えるヒスイの大珠(たいしゅ)なども生産されるようになったのです。
ヒスイの大珠は、表面がきれいに磨き上げられ、紐を通して装飾品、あるいは祭祀道具として使用されたことが推測できる穴が開いています。

石英砂を研磨剤に用い竹管で穴を開けるという技術は、遠くシベリアの技術が伝わったと推測され、縄文時代の環日本海大交流も裏付けるものとなっています。
権力者が現れる権力の象徴にもなったのが、このヒスイで、弥生時代から古墳時代にかけては、勾玉(まがたま)に加工され、『魏志倭人伝』には邪馬台国(やまたいこく)の女王・卑弥呼(ひみこ)の後継者が、中国・魏に濃い緑色のヒスイの勾玉を贈ったことが記されています。

遺跡の中央に広がる縄文時代中期(5000年~3500年前)の大きな集落跡が、ヒスイ工房の集落ですが、これまでに発掘調査された面積は遺跡全体の3%、集落全体の10%にとどまるため、今後、新たな発見があるかもしれません。

糸魚川の海岸ではヒスイの原石が採取可能

「長者ケ原考古館」でヒスイの流通を学ぼう

長者ケ原遺跡公園の復元された竪穴住居

現在、長者ケ原は遺跡公園として整備され、竪穴住居(たてあなじゅうきょ)などが復元され、ガイダンス施設として「長者ケ原考古館」が建っています。
「長者ケ原考古館」館内には縄文土器や石器、ヒスイの玉などが展示され、長者ケ原製造のヒスイは、縄文時代中期に北は北海道・礼文島、南は縄文時代後期に鹿児島県・種子島にまで流通していたと解説されています。
三内丸山遺跡などでは、とくに多くの長者ケ原製造のヒスイが出土しているとのこと。

縄文時代の晩期には、北は知床半島、南は沖縄本島まで流通していたこともわかっていて、一部は日本海交流で朝鮮半島まで輸出されていました。
しかも弥生時代から古墳時代になると、朝鮮半島への輸出の方が量が多くなっているので、交易品としても貴重なものだったことがよくわかります。

ヒスイが全国に行き渡った「ヒスイルート」は定かでありませんが、おもに日本海を使った海路だったことも想像できます。

こうしたヒスイの歴史が明らかになってきたのは意外にも戦後のことで、2016年9月には、日本鉱物科学会がヒスイを「国石」に選定しています。

縄文時代、全国に運ばれた「ヒスイ・石斧」の工房が糸魚川に!
所在地 新潟県糸魚川市一ノ宮1383
場所 長者ケ原遺跡公園
関連HP 糸魚川市公式ホームページ
電車・バスで JR糸魚川駅からタクシーで10分
ドライブで 北陸自動車道糸魚川ICから約2km
駐車場 100台/無料
問い合わせ 長者ケ原遺跡公園 TEL:025-553-1900/FAX:025-553-1986
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

ヒスイ海岸(糸魚川海岸)

糸魚川市街地の海岸線がヒスイ海岸と通称されるビーチ。「岩石の標本が作れるほどたくさんの石ころが拾えます」(糸魚川市観光協会)とのこと。ヒスイ海岸と通称されるのは、運が良ければヒスイの原石(小石)が拾えることがあるから。7月中旬~8月中旬には

フォッサマグナミュージアム

本州中央部を東西に分断する大地溝帯「糸魚川-静岡構造線」(フォッサマグナ)。糸魚川市の美山公園にある奴奈川の郷(ぬなかわのさと)・ヒスイの園に建つ博物館「フォッサマグナミュージアム」では、このフォッサマグナに関する資料や、糸魚川で産出した約

 

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