神奈川県横浜市青葉区大場町にある古墳群が、稲荷前古墳群(いなりまえこふんぐん)。前方後方墳、前方後円墳、円墳、方墳、横穴墓などがあり、「古墳の博物館」とも称されましたが、多くは開発で失われ、前方後方墳の16号墳、方墳の15号墳と17号墳、3基のみが現存。神奈川県の史跡に指定されています。
ヤマト王権ともつながりを有した首長の墓が16号墳
昭和42年、住宅造成工事中に大場町(当時の港北区稲荷前)の標高60mほどの丘陵から古墳が発見されたのが始まり。
昭和42年、昭和44年の2次にわたる発掘調査が行なわれ、前方後円墳2基、前方後方墳1基、円墳4基、方墳3基の計10基の古墳と3群9基以上の横穴墓が発見され、4世紀後半〜7世紀の谷本川(やもとがわ=鶴見川)流域を支配した首長とそれに連なる人々の墓所であることから、保存運動も行なわれました。
当時の横浜市長・飛鳥田一雄は、全国革新市長会の会長を務める革新系の市長でしたが、みなとみらい21、港北ニュータウン事業、横浜地下鉄、横浜市電を廃止、ベイブリッジ架橋、プロ野球球団の誘致など、現在の横浜のグランドデザインを構築する手腕を発揮していますが、この稲荷前古墳群の保存には積極性を発揮せず、住宅開発が進み、「やよいが丘」が誕生したのです。
16号墳(前方後方墳/墳丘長37.5m)は発掘された壺形土器などから、4世紀後半(古墳時代前期)に築かれた、横浜市内に現存する古墳でももっとも古い時代に築かれたものだと推測され、墳丘上に立つことのできる貴重な空間になっています。
4世紀〜5世紀、谷本川(鶴見川)流域を中心とする都筑の地は、ひとりの首長に統合され、ヤマト王権ともつながりをもちます。
前方後円墳の1号墳と6号墳(現存せず)と、前方後方墳の16号墳は、歴代首長の墓。
それ以外の古墳、横穴墓は、一族あるいは子孫の墓と推測されています。
稲荷前古墳群 | |
名称 | 稲荷前古墳群/いなりまえこふんぐん |
所在地 | 神奈川県横浜市青葉区大場町 |
関連HP | 横浜市公式ホームページ |
電車・バスで | 東急電鉄市が尾駅から徒歩20分 |
ドライブで | 東名高速道路横浜青葉ICから約2km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | 横浜市青葉区総務部区政推進課 TEL:045-978-2221/FAX:045-978-2411 |
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