山梨県甲府市にある、武田信玄が、鎌倉五山、京都五山などの禅宗(臨済宗)の五山制度に倣い、甲府に定めた5ヶ寺の禅宗寺院が甲府五山。武田信玄の母・大井夫人の菩提寺である長禅寺を筆頭に、能成寺、東光寺、円光院、法泉寺の五山(5ヶ寺)です。長禅寺→能成寺→東光寺→円光院→法泉寺と巡るのが一般的。
武田信玄と臨済宗の密なる関係とは!?
武田信玄は、幼少の頃から臨済宗妙心寺派(関山派)の禅僧、岐秀元伯(ぎしゅうげんぱく)の教えを受けています。
岐秀元伯は、尾張国(現・愛知県犬山市)の瑞泉寺で、大宗玄弘(たいそうげんこう)のもとで修行し、その法を継いでいましたが、信玄の母・大井夫人に招かれ、大井氏本拠・甲斐国巨摩郡大井庄内の長禅寺(現・山梨県南アルプス市鮎沢の古長禅寺)に入り、幼い信玄の教育係にしています。
『甲陽軍鑑』には、信玄が岐秀元伯のもとで臨済宗で最も重視する中国の仏教書であり禅宗の語録『碧巌録』(へきがんろく)を学んだことが記されています。
出陣の合間も参禅を欠かすことがなかったという禅、しかも臨済宗妙心寺派に傾倒する信玄ゆえに、甲府五山を定めたことは自然の流れだったと推測できます。
そして永禄2年(1559年)に出家する際には、岐秀元伯は導師を務め、信玄の法号を与えています。
長禅寺
所在地:甲府市愛宕町208
創建:(伝)天文21年(1552年)
正式名:瑞雲山長禅寺
本尊:釈迦如来
概要:武田信玄の母・大井夫人(瑞雲院殿心月珠泉大姉)の菩提寺
開山の住職・岐秀元伯は、信玄幼少期からの学問・政道の師で、信玄は、岐秀元伯が与えた法号(機山信玄)。
『絹本著色武田信虎夫人像』は国の重要文化財。
東光寺
所在地:甲府市東光寺3-7-37
創建:不詳、寛元4年(1246年)、蘭渓道隆(大覚禅師)が再興、寺号を東光寺に
正式名:法蓋山東光寺
本尊:薬師如来
概要:信玄と対立した長男・武田義信は、東光寺に幽閉され、自害。
武田信玄の諏訪侵攻で捕虜となった諏訪頼重も東光寺に幽閉され、切腹。
境内に武田義信、諏訪頼重の墓があります。
仏殿は国の重要文化財、東光寺庭園は山梨県の名勝
能成寺
所在地:甲府市東光寺町2153
創建:南北朝時代・貞和年間(1345年〜1350年)
正式名:定林山能成護国禅寺
本尊:釈迦如来
概要:八代郡(現:笛吹市)にあった武田信玄の父・武田信虎の曽祖父・武田信守の菩提寺。
武田信玄が府中(甲府)に移築。
武田氏滅亡後、甲府城築城時に現寺地に移転。
円光院
所在地:甲府市岩窪町500-1
創建:永禄3年(1560年)、武田信玄の開基
正式名:瑞巖山円光護持禅院
本尊:釈迦如来
概要:武田信玄の正室・三条夫人の菩提寺。
円光院の名は、三条夫人の法号。
法泉寺
所在地:甲府市和田町2595
創建:南北朝時代・元徳年間(1329年〜1332年)
正式名:金剛福聚山法泉寺
本尊:弥勒菩薩
概要:南北朝時代に甲斐守護・武田信武が創建の古刹で、天目山の戦いで織田信長に敗れ、京で晒首となった武田勝頼の菩提寺(武田勝頼の葬儀は京の臨済宗妙心寺派大本山・妙心寺で行なわれています)。
甲府五山めぐり コースタイム
JR甲府駅〜(徒歩15分)〜長禅寺〜(徒歩15分)〜能成寺〜(徒歩15分)〜東光寺〜(愛宕山スカイライン経由・タクシー15分)〜円光院〜(徒歩20分)〜武田神社・躑躅ヶ崎館跡〜(徒歩30分、またはタクシー10分)〜法泉寺〜(徒歩35分、またはタクシー10分)〜JR甲府駅
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