京都府京都市左京区、洛北の若狭街道に建つ天台宗山門派の寺、蓮華寺。応仁の乱で荒廃した寺を寛文2年(1662年)、加賀藩の家老・今枝近義(いまえだちかよし)が祖父・今枝重直の菩提を弔うために洛中から移転させて再興。山門や池の周囲にはカエデ類が多く、新緑、紅葉は最高ですが、訪れる人も少ない風情ある京の隠れ寺のひとつ。
近年、紅葉の名所として注目度もアップ
寺を再興した今枝近義は、加賀藩4代藩主・前田綱紀(まえだつなのり)の守役。
明暦3年(1657年)、江戸の明暦の大火の際には、江戸藩邸の藩士を指揮して防火に努め、天和元年(1681年)には、尾張・水戸・紀州の徳川御三家と加賀藩にも大名火消としての役割が果たされています。
もともと洛中・七条通にあった寺ですが、洛北に移り再興の際には狩野派の絵師・狩野探幽(かのうたんゆう)、加賀藩主に仕えた儒学者・木下順庵(きのしたじゅんあん)、煎茶道の開祖で、福建省出身の禅僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)など、当代一流の文化人たちの支援を受けています。
仏殿と書院に面する形で配される池泉回遊式の庭園も、詩仙堂で名高い石川丈山(いしかわじょうざん)作とも小堀遠州(こぼりえんしゅう)作とも伝えられる名園。
庭園も寛文6年(1666年)頃に完成したと推測できるので、小堀遠州はすでに正保4年2月6日(1647年3月12日)に没していて、その可能性は消えます。
新緑、紅葉の時季に、座敷から庭園を眺める風情は格別で、少し詩仙堂に似たイメージも。
本堂前の庭には、六角形で急勾配の笠を付けた「蓮華寺形灯籠」(尖った細い灯篭)が置かれています。
江戸時代には茶席の庭によく使われたもので、茶人の間では有名。
庭園など池泉の水は、江戸時代前期の京都代官・五味藤九郎(ごみとうくろう)が開削した高野川から分岐した用水路の水を使っています。
鐘楼には黄檗2世・木庵性瑫(もくあんしょうとう/福建省出身、黄檗山萬福寺で隠元隆琦の法席を継承、黄檗三筆のひとり)の銘がある銅鐘が掛かっています。
蓮華寺の紅葉の見頃は例年11月中旬~11月下旬頃です。
晩秋なら山門周辺の散り紅葉は風情があり、注目。
蓮華寺 | |
名称 | 蓮華寺/れんげじ |
所在地 | 京都府京都市左京区上高野八幡町1 |
電車・バスで | 叡山電鉄叡山本線三宅八幡駅から徒歩10分。またはJR京都駅から市バスで44分、上橋下車、すぐ |
ドライブで | 名神高速道路京都東ICから約12km |
駐車場 | 6台/無料 |
問い合わせ | 蓮華寺 TEL:075-781-3494 |
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