西武山口線は、多摩湖駅(埼玉県東村山市)と西武球場前駅(所沢市)を結び「レオライナー」の名で親しまれる路線。実は、大手私鉄では唯一の案内軌条式鉄道(AGT)路線で、ゴムタイヤで走り、架線・パンタグラフがなく、路面横から直流750Vの電気を給電しています。
冬は、スタッドレスタイヤで運行
山口線というと「SLやまぐち号」の走るJR山口線(新山口駅〜益田駅)を思い浮かべる人も多いかと思いますが、かつて山口線にもSLが走っていました。
昭和47年6月2日、日本の鉄道100周年を機にSLの運転を開始し、昭和59年5月13日のさよなら運転まで、東西の山口線にSLが走っていたのです。
西武山口線は、もともと多摩湖ホテル前〜上堰堤を走る遊戯施設「おとぎ電車」(軌間762mmの軽便鉄道)として開業、昭和27年に多摩湖ホテル前(現・多摩湖駅)〜ユネスコ村間の普通鉄道に転換し、山口線に。
転換後も「おとぎ電車」の名は引き継がれましたが、昭和60年4月25日、大手私鉄では初となる案内軌条式鉄道に変身しています。
ゴムのタイヤでコンクリートの路面を走るというユニークさで、タイヤもトラック以上の巨大さです。
坂道が多く、最大勾配も50‰(パーミル)と西武鉄道では最大勾配です(西武秩父線25‰、西武狭山線34‰)。
新交通システムは、勾配に強いのも特徴で、ニューシャトル(埼玉新都心交通)には59‰の急坂があります。
坂道が連続するため、あまり知られていませんが、冬期は雪を想定して滑らないようにスタッドレスタイヤを装着しています。
現在走っているのは8500系ですが(1985年に運用開始、1両が8500mm)、令和7年度~令和9年度に新型車両に置き換わる予定です。
先頭車最前部には親子で前面の車窓展望が楽しめる「kids SEAT」が設置されますが、シートは現行のクロスシートからロングシートに代わり、少し旅の気分が失われてしまいます。
ロングシート化は、西武ドーム(ベルーナドーム)でプロ野球・コンサート開催時の輸送力増強に対応するため。
令和3年4月以降、使われる電気は、自前の太陽光発電所の西武武山ソーラーパワーステーション(西武グループ保有の太陽光発電所9ヶ所のうち最大発電量)から給電。
年間約300tほど排出していた二酸化炭素が実質ゼロというエコさが売りになっています。
西武山口線は大手私鉄で唯一の案内軌条式鉄道(AGT)路線 | |
所在地 | 東京都東村山市多摩湖町3-15-18〜埼玉県所沢市上山口2090-3 |
場所 | 多摩湖駅〜西武球場前駅 |
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