バットレスダムとは、ダムの水圧がかかる止水壁(堰堤部分)を、鉄筋コンクリートのバットレスと称される扶壁(ふへき)によって支える構造のダム。大正12年、函館市水道局が建設した笹流ダムを皮切りに、昭和12年完成の三滝ダム(鳥取県智頭町)まで8基しか築かれていません。そのうちの1基が群馬県・丸沼高原に。
ダムの天端の標高は1429.85mという高所に!
バットレスダムは、コンクリートがまだまだ高価だった大正〜昭和初期、コンクリートの使用を切り詰め、少ない予算で築くことができるため、山岳地帯のダムなどで採用されましたが、人件費の高騰で、複雑な後方の型枠をつくる費用が高くつくなど、経済効率が良くない、大規模なダムには不向きという理由で(昭和2年には、小諸ダムの決壊事故もありました)、国内ではわずか8基が築かれただけ、しかも現存するのは6基のみという希少性のあるダムです。
支壁と梁によって格子状に組まれ、ダムの内部が露わになっているその形状は、かなりの奇観。
外見的にもダムらしくない風貌で、多くのダム好きを唸らせています。
バットレスダムの存在を知らない人なら、ダムであることを気が付かないかもしれません。
最初に築かれた笹流ダム以外はすべて発電用のダムで、群馬県の丸沼高原に築かれた丸沼ダムは、東京電力が昭和3年に着工、昭和6年に完成したもの。
丸沼ダムは、堤高32.1mと、バットレスダムの中では日本で最も堤高が高いダムで、土木学会選奨土木遺産、「丸沼堰堤」として国の重要文化財にも指定されています(発電用のダムとしては初の指定)。
設計は、内務省土木試験所長で、、土木耐震学の第一人者である物部長穂(もののべながほ)で、バットレスダムの耐震工法を確立、重力式コンクリートダムの工法理論を構築しています。
治水・利水の両方を目的とした「多目的ダム」は、物部長穂の発案です。
国の重要文化財に指定されるバットレスダムが群馬・丸沼高原に! | |
名称 | 丸沼堰堤(丸沼ダム)/まるぬまえんてい(まるぬまだむ) |
所在地 | 群馬県利根郡片品村東小川 |
ドライブで | 関越自動車道沼田ICから約42km |
駐車場 | 15台/無料 |
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