サイトアイコン ニッポン旅マガジン

廃止が囁かれる名鉄蒲郡線、 「みなし上下分離方式」導入で存続!?

名鉄蒲郡線

吉良吉田駅(愛知県西尾市)と蒲郡駅(がまごおりえき/蒲郡市)を結ぶ名鉄蒲郡線。「西蒲線」と通称され、風光明媚な三河湾沿いを走る名鉄のローカル線ですが、利用者の減少から2023年度は8億7800万円の赤字を計上。廃止が囁かれていますが、「上下分離方式」の導入で、なんとか存続しようという計画が持ち上がっています。

かつては特急も頻発した観光路線

かつては愛知県の保養地として注目され、1958年に愛知県では最初の自然公園として三河湾国定公園が制定されると、名鉄は前島(現・西尾市)に8種300羽のウサギが放ち、「うさぎ島」として観光宣伝。
吉良温泉や西浦温泉、蒲郡の観光発展に合わせて、名古屋方面から名鉄名古屋本線の新安城駅経由で、西尾線で吉良吉田駅まで、さらに蒲郡線で蒲郡駅に直通の特急を走らせるようになりました。
東京オリンピックが開催され、東海道新幹線が開通した1964年には、特急「三河湾号」が誕生。
三河湾の観光ブームが到来しました。

7000系「パノラマカー」や7700系に白帯を入れた有料特急が走った時代もあり、最盛期には日中、1時間に2本もの特急が運転されていました。

名古屋駅〜蒲郡駅ではライバルとなる東海道本線が、1986年11月1日、国鉄(現・JR東海)最後のダイヤ改正で、「汽車から電車へ」をスローガンに豊橋駅〜名古屋駅〜大垣駅に1時間に1本の快速を運転。
分割民営化でJR東海発足後の1989年3月11日のダイヤ改正で、蒲郡駅〜名古屋駅〜大垣駅にグレードアップした新快速が毎時2本、快速も毎時2本の便利なダイヤとなり、運賃、速達性で名鉄を圧倒することに。

さらにレジャーの多様化で、三河湾の観光全体に陰りがみえ、1997年11月30日に名鉄系の「うさぎ島」は閉園。
名鉄も2005年1月29日ダイヤ改正で、名古屋方面から特急・急行の蒲郡線直通を廃止。
さらに2008年6月29日ダイヤ改正で、吉良吉田駅で運転が分断され、すべての直通電車が廃止され、蒲郡線内のみの運転となりました。

蒲郡線はワンマン普通列車が日中それぞれ1時間2本ずつ発着、吉良吉田駅で乗り換える仕組みに。
通勤や通学に欠かせない地域住民の足となっている蒲郡線ですが、西尾、蒲郡の両市は2010年度から、名鉄に毎年計2億5000万円(蒲郡市9931万円、西尾市1億5068万円)の財政支援を行なっています。

名鉄と蒲郡市、西尾市の協議では、現行のまま2027年3月まで存続する方針を決定。
2027年4月からの運行については、蒲郡線は国の交付金を活用しながら、「みなし上下分離方式」で15年間運行したい考えが示されています。

上下分離方式は、鉄道施設を地元自治体などが保有し、運営のみを鉄道会社が行なう方式。
その変則スタイルの「みなし上下分離方式」は、鉄道施設などの保有経費相当分を地方公共団体が負担、実質的に上下分離した場合と同様の効果を実現しようとする運営です。

すでに上毛電気鉄道(群馬県)、一畑電車(島根県)で採用する「みなし上下分離方式」を名鉄も導入し、蒲郡線の存続を図ろうというもの。
これでなんとか、あと十数年は存続する見込みに。

廃止が囁かれる名鉄蒲郡線、 「みなし上下分離方式」導入で存続!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了