横浜駅〜元町・中華街駅(4.1km)を全線地下で走る横浜高速鉄道みなとみらい線。全列車が東急東横線と相互直通運転するほか、東京メトロ副都心線(さらにその先の東武東上線、西武有楽町線・西武池袋線)にも直通乗り入れする列車もあるため地下鉄のイメージもありますが、国土交通省は地下鉄とはしていません。
国交省は「都市高速鉄道の地下区間」と考えている!
横浜市内を走る地下鉄は、横浜市営地下鉄のみで、横浜高速鉄道みなとみらい線は、地下を走る都市高速鉄道という扱い。
当初は、横浜市営地下鉄2号線として昭和42年3月7日に横浜市交通局が鉄道事業免許を取得していますが、平成元年3月29日、横浜高速鉄道株式会社設立され、平成2年4月19日に第一種鉄道事業免許を取得したことを受け、競合する横浜市営地下鉄2号線の鉄道事業免許が廃止されています。
ネットなどで、「横浜高速鉄道みなとみらい線は完全に地下鉄です」などという記述も見かけますが、間違いということではなく、一般社団法人日本地下鉄協会にも加盟しているため、広義の地下鉄ということに。
地下鉄の車両には「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」で、非常用貫通扉の設置が義務付けられています(地下鉄乗り入れ仕様の車両も同様)。
非常時には、先頭・末端部分の扉を開け、階段や梯子を仮設して脱出できるようになっているのです(車両とトンネル壁間にスペースがなく、乗客が側入口の扉を開けて避難できない場所で使用)。
当初、横浜高速鉄道みなとみらい線はJR横浜線との直通乗り入れが計画され、その後、国鉄の分割民営化騒動の煽りを受け、東急東横線と相互乗り入れに変更されたという歴史があり、現在のような地下鉄への直通運転は想定されていないスタートでした(東急グループにとっては、みなとみらい21進出の足がかりに)。
運行する車両も、地下鉄乗り入れ用の車両でない横浜高速鉄道Y500系電車を導入しています。
その後、副都心線直通もあって、前面非常扉を設置に改造し(扉下部にMのマークがある部分)、現在は地下鉄(東京メトロ)への直通運転も実施されています。
さらに、国内の地下鉄は公営ですが(東京メトロも財務省と東京都が出資)、横浜高速鉄道は第三セクターで、ここにも大きな違いが。
結論をいえば広義には「都市の地下部分に建設されたトンネルの中を走行する鉄道が地下鉄」(日本民営鉄道協会)なので、横浜高速鉄道みなとみらい線は地下鉄です。
しかし、国土交通省が「地下鉄事業者」として認識している公営交通事業者には含まれません(鉄道統計年報では「地下鉄事業者」として東京地下鉄、札幌市交通局、仙台市交通局、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪市高速電気軌道、神戸市交通局、福岡市交通局を規定)。
さらに地下鉄事業者に関しては「地下鉄建設にあたって補助金を使用した事業者」も含まれることから、埼玉高速鉄道、上飯田連絡線、中之島高速鉄道、西大阪高速鉄道、関西高速鉄道、神戸高速鉄道、広島高速交通までが地下鉄の扱いになりますが、このなかにも入らないため、国土交通省的には「都市高速鉄道の地下区間」ということに。
「全線が地下」の横浜高速鉄道みなとみらい線が厳密には「地下鉄でない」理由とは!? | |
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