関東とは上越新幹線で新潟市が、北陸新幹線で上越地方と繋がる新潟県ですが、電力は東北電力、ガスは北陸ガスと電気とガスでも管轄が分かれています。地元の人も「天気予報は関東甲信越」、「中部地方だと習った」などなど意見も分かれるようで。新潟県、はたして何地方なのでしょう?
地元アンケートでは5割超が「関東甲信越」と回答!
BSN新潟放送が行なったアンケートでは、関東甲信越と考える人が55%で、北陸25%、中部17%、東北3%を抑えて圧倒的でした。
近年、仕事や観光でも関東や長野県との結びつきが強いことがアンケートに反映されているのでしょう。
江戸時代までの旧国としては、新潟県は、越後(えちご)ですが、大化の改新以前には越国(こしのくに=高志国)で、福井県敦賀市〜山形県庄内地方までという広大なエリアを指す言葉でした。
歴史的には律令制の導入、国衙(こくが)と称される行政機関(現在の県庁)が配置される飛鳥時代以降に、京に近い方から、越前国(福井県)、越中国(富山県)、加賀国・能登国(石川県)・越後国(新潟県)に分割され、江戸時代までこの区分で呼ばれていました。
朝廷の北方支配の拠点として、大宝2年(702年)、越中国から頸城郡、古志郡、魚沼郡、蒲原郡の4郡を譲り受け、さらに出羽郡(現・山形県庄内地方)までの広大な地方でした。
和銅5年(712年)、出羽郡を出羽国(山形県)に分離して、ほぼ現在の新潟県エリアとなっています。
いずれにしろ、越国、越中国ともに北陸道というエリアに属していました(広域の行政区分としては北陸道ということに)。
北前船の繁栄で、物流的にも京との結びつきが強く(江戸時代には日本海の物流が日本最大の交易路)、歴史的にも、物流的にも北陸という位置づけでした。
能登半島地震の復興支援で行なわれた「北陸応援割」でも、「令和6年能登半島地震により観光需要の落ち込みが見られる北陸地域4県」が対象で、新潟県は「北陸4県」に含まれています。
気象庁も新潟県は、北陸地方4県に含み(甲信越というくくりはありません)、桜の開花や梅雨明けなど、気象台の発表でも北陸地方に属しています。
新潟県は東北だという熟年世代がいるのは、昭和32年に東北開発促進法を定めた際、第二条で、「この法律において『東北地方』とは、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、および新潟県の区域をいう」と定めたからもあり、東北7県と称されていた時代もあって、話はややこしくなります。
文化的にもフォッサマグナ(大地溝帯)の境界に位置する糸魚川が東西文化の分割点で、糸魚川を境に東西では食文化や生活習慣に大きな違いが生まれています(糸魚川のスーパーではカップ麺の東バージョン、西バージョンが両方置いてあります)。
中華まんを豚まん(西日本)と呼ぶのか、肉まん(東日本)とするのか、あるいは灯油用のポリタンクが赤なのか青なのか(青=西日本、赤=東日本)といった文化的な違いでは、糸魚川が混在エリアで、まさに境界なので、同じ北陸といえど新潟県は東国に。
ゲンジボタルの発光周期などを含めて、甲信越に近い感じがします。
行政的にも複雑で、気象庁は北陸ですが、林野庁は関東農政局翼下の関東森林管理局(福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、静岡県の1都10県にわたる区域の国有林を管理)で、広域の関東に(長野県は含まれず、福島県、新潟県、山梨県、静岡県が加わっています)。
同様に経済産業省の関東経済産業局、総務省の関東管区行政評価局も新潟を含めた1都10県です。
国土交通省は、少し複雑で、河川や道路、港、空港、ダム、公園などを担当する整備局は新潟県は関東地方整備局ではなく、北陸地方整備局に、公共交通計画や観光などを担う運輸局は北陸信越運輸局に属しています。
環境省は、関東地方環境事務所の管轄ですが、新潟県内でも上信越高原国立公園、妙高戸隠連山国立公園および中部山岳国立公園の区域は中部地方環境事務所、磐梯朝日国立公園、国指定大鳥朝日鳥獣保護区の区域は東北地方環境事務所という区分になっていて、さらに複雑。
鉄道は、かつての新潟鉄道管理局がJR東日本新潟支社で、境界の糸魚川駅はかつての金沢鉄道管理局で、現在はJR西日本(JR西日本では新潟県内で唯一の有人駅で、最東端駅)の管轄。
広域行政では、関東圏にも入っていますが、省庁をまたいだ広域関東の連携では、省庁によって新潟県が入っていたりいなかったりと、まさに複雑怪奇な感じです。
歴史的、文化的、気候的、地理的と複雑な要因があり、新潟県は行政的にも関東だったり、北陸だったり、甲信越だったりと分かれているわけで、何が正解とはいえないことがよくわかります。
新潟県は中部、北陸、それとも東北!? 何地方が正しい!? | |
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