5層天守閣としては日本最古の城。築城は1504(永生1)年ですが、5層天守閣となったのは1593〜1594(文禄2〜3)年のこと。鉄砲や矢を放つ狭間(さま)も117ヶ所も設けられ、実戦を意識した設計であることがよくわかります。本丸、二の丸一帯は松本城公園として整備され「日本100名城」、「日本の歴史公園100選」選定。
石川数正・康長親子が戦国時代末期に築城
1590年(天正18年)、豊臣秀吉の小田原攻めの後、徳川家康の関東移封に伴って信濃守護小笠原氏の末裔で松本城主・小笠原秀政も下総古河へ移封。
代わって家康の忠臣から豊臣秀吉の配下に転じたと石川数正が入城し、数正とその子・石川康長が天守と城下町を築いています。
その後、藩政時代には水野家や松平家が譜代の大名として藩主を務めています。
急勾配の階段で天守最上階へ!
彦根城、姫路城、松江城、犬山城と並んで、国宝5城のひとつ。
現存12天守の中では唯一の平城です。
内堀の幅も、当時の鉄砲が天守閣側から届く距離(55〜60m)となっています。
天守内部は見学も可能で、幅が狭く急勾配の階段(敵が侵入しにくい設計)で最上階に上れば、松本市街はもちろん、晴れていれば北アルプスまで一望に。
5層6階建てとなった天守の内部を上へ上へと見学してゆくと、階段の勾配がことのほか急なことに気がつくでしょう。
しかもじっくりと観察すると段の高さも1段ずつ異なり、非常に上りづらい仕掛けが。
松本城が建築されたのは関ヶ原以前の戦国時代のたけなわ。
泰平の時代に建築された城とは大きく異なり、実戦的な性格を強くもっていたのです。
普段の生活よりも非常時を優先させる階段のような設計は、窓が極めて少なく、石落としを配し、弓や鉄砲を発射する狭間(さま)を多く設けるなど随所に見られるのです。
ちなみに本丸の現在は広場になっている場所に本丸御殿、二の丸の広場に二の丸御殿が建っていて、日常的な政務や暮らしはそこで行なっていたのです。
現存する松本城がいつ築かれたものなのか、あるいは改築されたものなのかは、残念ながら定かでありません。
乾小天守は、天正20年と文禄元年にまたがる1592年に建造されたとされていますが、これも通説。
平成元年、松本市が依頼した有識者による懇談会は、天守群は一体で同時期、文禄2年~文禄2年(1593年~1594年)に建築と結論づけています。
ただし文化庁は大天守の建造は慶長20年〜元和元年(1615年)頃で、ほか4棟は別々に建造されたとしているのです。
本丸庭園などを会場に多彩なイベントを実施
松本城公園となった本丸、二の丸一帯には300本のソメイヨシノやヤエザクラが植栽され、例年4月上旬〜4月下旬に花の見頃に。
松本城管理事務所による開花宣言の3日後から8日間にわたって『国宝松本城「夜桜会」』が開催されます。
1595(文禄4)年頃に築かれ、門台北石垣上に置かれた「太鼓楼」は、時の合図、登城の合図、火急の合図などを行ないました。
太鼓楼をのせた楼門の太鼓門(復元)は、春(4月中旬〜5月上旬)、夏(7月中旬〜8月中旬)、秋(10月中旬〜11月上旬)に『太鼓門特別公開』が行なわれ、内部の見学が可能。
毎年8月8日には本丸庭園特設舞台を会場に『国宝松本城「薪能」』が行なわれています。観世流と宝生流が1年交代で舞う仕組みです。
往時には松本城の天守閣の南東側に月見櫓という場所があり、中秋の名月には観月会が行なわれました。
それを模して9月か10月の十五夜前後には、『国宝松本城月見の宴』が開催され、ライトアップされた松本城天守を背に、野外いけばなや本丸庭園で琴やフルート、雅楽の音色、お茶席などが用意され、風雅な雰囲気の松本城を味わうことが可能です。
『国宝松本城月見の宴』では、本丸庭園も夜間(17:30~20:30)無料開放されています。
4月下旬には「歴史を正しく後世に伝えるため、ぜひ多くの方々に火縄銃を実際に見て知ってほしい」という 松本城鉄砲蔵赤羽コレクション会の理念にもとづき本丸庭園を会場に、『国宝松本城松本藩古流砲術演武』(火縄銃の演武)が行なわれています。
また10月中旬には『古式砲術演武』も実施。本丸庭園で、松本城鉄砲隊や全国の古流砲術を伝承する鉄砲隊が、伝承する技を披露してくれます。
国宝松本城 | |
名称 | 国宝松本城/こくほうまつもとじょう |
所在地 | 長野県松本市丸の内4-1 |
関連HP | 松本城公式ホームページ |
電車・バスで | JR松本駅から徒歩15分 |
ドライブで | 長野自動車道松本ICから約3.5kmで開智駐車場 |
駐車場 | 開智駐車場(110台/有料) |
問い合わせ | 松本城管理事務所 TEL:0263-32-2902/FAX:0263-32-2904 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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