長崎県雲仙市、仁田峠下の雲仙ゴルフ場(日本最古のパブリックコース)近くにあるのが池の原園地(池の原ミヤマキリシマ群落)。雲仙ではほぼ全域に生育するミヤマキリシマですが、池の原では標高730m〜800mほどの場所に群落を形成し、国の天然記念物に指定されています。
牛馬の放牧で生まれたミヤマキリシマ群落
ミヤマキリシマが群落を成す、仁田峠や池の原は、かつての放牧地で、ミヤマキリシマがツツジの仲間であることから放牧した牛馬もこれを食せず(葉に毒があるため)、草原状の地にミヤマキリシマが群落として生育したもの。
島原半島では、平安時代から牛が放牧されており、江戸時代には、農繁期に使われる牛馬が夏の期間は山々へ放牧され、野草を食べて健康に育つというシステムが完成しました。
植物が繁茂する夏場の放牧により、茅やススキの生育がなく、牛馬が食しないミヤマキリシマが残されたのです。
雲仙ゴルフ場もこの放牧地跡の草原を利用し、大正2年に県営でオープンしたゴルフ場。
雲仙岳が国立公園に内定した昭和7年の時点でも、島原半島全体で2635haの放牧草原があり、ミヤマキリシマやヤマツツジの群落も880haが残されていました。
当時はまだ牛馬1万5000頭が草を食むのどかな光景が山上に展開していたのです。
国立公園の指定後、放牧面積が減り、ミヤマキリシマの群落も昭和55年には40haにまで減少。
現在残される池の原ミヤマキリシマ群落も徐々に、ススキや茅、灌木に侵食されているのです(放置すればやげて森林に戻ります)。
島原半島で、往時の放牧地が残される貴重な場所は、奥雲仙・田代原高原で、JA島原雲仙が放牧する黒牛(肉用牛)による「草刈り」とNPO法人「奥雲仙の自然を守る会」による保全活動などが行なわれています(往時に比べて放牧頭数が減り草原が荒廃しつつあります)。
「ウンゼンツツジ」とも呼ばれるミヤマキリシマは、雲仙地獄周辺では4月下旬頃から咲き初め、池の原園地や宝原園地の群落は5月上旬〜中旬頃、仁田峠一帯では5月中旬〜下旬頃が見頃となります。
池の原園地(池の原ミヤマキリシマ群落) | |
名称 | 池の原園地(池の原ミヤマキリシマ群落)/いけのはらえんち(いけのはらみやまきりしまぐんらく) |
所在地 | 長崎県雲仙市小浜町雲仙 |
ドライブで | 長崎自動車道諫早ICから約40km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | 雲仙温泉観光協会 TEL:0957-73-3434 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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