沖縄県八重山郡与那国町、与那国島の玄関港・久部良港北側の海岸部にあるのが、久部良バリ(くぶらばり)。久部良フリシと呼ばれる独特の海浜景観の中央にある断層崖の深い亀裂で、琉球王府(中山)の重税にあえいだ妊婦に崖を飛ばせて胎児とともに死に至らしめたという伝説を生んだ場所で、国の名勝。
与那国島の精神文化を物語る貴重な断崖と亀裂
八重山層群(砂岩)の上に堅い琉球石灰岩の琉球層群が覆う構造の久部良フリシ。
フリシは、「古い石」の意で、浸食された断層崖の海岸が続いています。
断層崖の中央にある全長15m、幅は3.5m、深さ7mほどの亀裂が、久部良バリ。
バリは、「割り」の意で、久部良の割れ目の意。
琉球王府による人頭税(にんとうぜい)に負担にあえいだ島人が、妊婦に崖を飛ばせて胎児とともに死に至らしめたとの伝承を生んでいます。
慶長14年(1609年)、薩摩藩の琉球侵攻で、財政的に困窮した琉球王府は、1637年、先島(宮古・八重山)地方に暮らす15歳〜50歳に重税を果たしています。
納税の能力にかかわらず、住民に頭割りで課されたまさに酷税で、明治36年に廃止されるまで続いた税制ですが(260年間、先島住民を苦しめ続けた税制度)、過酷な税制と琉球王府の離島差別に反発し、悪税に呻吟(しんぎん)した島民感情が、こうした伝説を運だと推測できます。
琉球王府にとっては、干魃、台風被害によって収穫物や生産量が少ない年でも収入額を一定化できる税制度でしたが、島民は作物の収穫が少ない年でも、決められた金額分や穀物量をほかで補う必要が生じたため、人頭税の支払うために生きるという奴隷のような生活が生まれたのです。
妊婦の話はあくまでも伝説で、実際には、旧暦の4月に稲穂の害虫を駆除するために、虫の霊を海の彼方の理想郷・アンドゥヌチマ(安土の島)へと送るフームヌン(穂物忌み)の儀礼の場として使われており、島の精神文化を表す独特の風致景観にもなっています。
近くには廃墟と化したアダンの夢製塩所跡もあるので、あわせて見学を。
久部良集落は、日本最西端の集落(久部良港は日本最西端の港)で、集落内にある久部良簡易郵便局は日本最西端の郵便局です。
久部良バリ | |
名称 | 久部良バリ/くぶらばり |
所在地 | 沖縄県八重山郡与那国町与那国4022-480 |
関連HP | 与那国町観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 久部良港から徒歩10分、与那国空港からタクシーで8分 |
ドライブで | 与那国空港から約4km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | 与那国町観光協会 TEL:0980-87-2241/FAX:0980-87-2079 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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