日本国内に数多くある「東洋の〇〇」。その筆頭ともいえるのが、「東洋のナポリ」ですが、実は、熱海、別府、さらには阿字ヶ浦海岸(茨城県ひたちなか市)、豊後水道に浮かぶ保戸島(大分県津久見市)も「東洋のナポリ」ですが、本場のナポリと姉妹関係にあるのは、案外似ている鹿児島市です。
昭和35年、鹿児島市とナポリ市は姉妹都市に
鹿児島市は、イタリアのナポリ市、オーストラリアのパース市、アメリカのマイアミ市と姉妹都市盟約を結んでいますが、とくにナポリ市とは、古くから「東洋のナポリ」と呼ばれたこと、ナポリ市側も景観に類似性があると認識して、昭和30年頃から市民レベ ルでの交流が開始され、昭和35年には姉妹都市となっているのです。
つまりはナポリ市公認の「東洋のナポリ」となってから、すでに60年以上の歳月が流れていることに。
ローマの南東200kmほどに位置するナポリ市(Napoli)は、ナポリ県の県都で人口97万人。
ローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市で、鹿児島県の県都・鹿児島市(人口59万人)よりも規模的には大きな町です。
ベスビオ火山を背景とする風光明媚な景観で、ドイツの詩人・ゲーテが『イタリア紀行』(Italienische Reise/1816年~1829年刊)で「ナポリを見てから死ね」(vedi Napoli e poi muori)と記しています。
ナポリ旧市街の「ナポリ歴史地区」は世界遺産に登録されているほか、有名なポンペイの遺跡もナポリ近郊にあります。
ナポリ市街からナポリ湾越しに眺めるベスビオ火山(ポンペイ最後の日を生んだ活火山)、鹿児島市街から錦江湾越しに眺める桜島が景観的に似ていることが「東洋のナポリ」たるゆえん。
ベスビオ火山(1281m)の最も新しい噴火は昭和19年3月22日で、サン・セバスティアーノ村(San Sebastiano al Vesuvio)を埋没させていますが、これが最後の噴火です。
桜島(最高峰の北岳で標高1117m)は、大正3年の大正大噴火で、鹿児島湾東岸の大隅半島と陸続きになり、昭和10年、昭和14年にも噴火が記録され、現在も活発な火山活動を続けています。
ベスビオ火山と桜島は標高的にもほぼ同じ、ナポリ市街からベスビオ火山までの距離は14km、鹿児島市役所と桜島南岳は10kmほどなので、類似性が高いということに。
ベスビオ火山が将来、再噴火することは確実で、その意味を込めて、最近では地元ガイドなども「(噴火前に)ナポリを見てから死ね」などとユーモア混じりに話しているのです。
桜島もベスビオ火山同様に監視対象の火山で、防災という観点からも類似性の高いナポリ、「東洋のナポリ」といえるのです。
ちなみに熱海市の姉妹都市はイタリアではサンレモ市、別府市もナポリとの姉妹関係はないので、ナポリ市公認の「東洋のナポリ」は、鹿児島市だけということになります。
ナポリ市公認「東洋のナポリ」は鹿児島市だけ! | |
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