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実はPRできない!? 「日本一標高の低い地上駅」は、どこ!?

日本一標高の高い駅は、鋼索鉄道(ケーブルカー)では立山黒部貫光・黒部ケーブルカーの黒部平駅(富山県)、普通鉄道ではJR東日本・小海線の野辺山駅です。逆に、地下駅を除き、日本一標高の低い駅は、定かでないのが現状。通説としては、JR東海・関西本線と名古屋鉄道・尾西線の弥富駅が、マイナス0.93mで日本一とされています。

「地上で日本一低い駅」の表示が消された弥富駅

駅名標横の「地上で日本一低い駅」表示は白塗りに!

愛知県弥富市鯏浦町(うぐいうらちょう)にある、弥富駅。
関西鉄道(現・JR関西本線)の前ヶ須駅(まえがすえき)として明治28年5月24日に開業(11月7日、弥富駅に改称)という歴史ある駅で、明治31年4月3日には尾西鉄道(現在の名鉄尾西線)が乗り入れ、起点駅としています。

歴史ある弥富駅が地上駅ながら、標高がマイナスなのは、一帯が輪中(わじゅう)という周囲を堤防で囲まれた海抜0m地帯だから。
かつては周囲には養魚池が数あり、特産の弥富金魚が養殖されていました。

ホームの駅名標横には「地上で日本一低い駅」という表示もありましたが、JR東海が調査したところ、ほかにももっと低い駅がある可能性も出てきたことで、平成28年9月に表示をあえて白く塗りつぶしています。
JR東海によれば、全国の駅の標高を調査したところ、「地上で日本一低い駅」を宣言するには根拠不十分だったということですが、国鉄時代からの表示は、あえなく白塗りに。

海に少しだけ近い近鉄弥富駅のほうが標高が低い!?

では、ほかに候補があるのでしょうか。
鉄道評論家・川島令三は、その著書『東海道ライン 全線・全駅・全配線 第8巻 名古屋南部・紀勢東部』で、近鉄弥富駅の方が標高が低い可能性がある、と指摘しています。

実は、近鉄のほうが海に近い南側を走っているので、埋め立ての歴史的にも、地形的にもその可能性が少しだけあります(実際には海側だからといって標高が低いわけではなく、標高1mの場所もあります)。
近鉄弥富駅は、昭和13年6月26日、関西急行電鉄(近鉄名古屋線の前身)の開通時に、関急弥富駅として開業。

2030年度には弥富駅の自由通路と、橋上駅舎が完成する予定で、目下、駅前広場を含めてリニューアルが進行中ですが、標高は非公表となっています。

ふたつの駅はホームの中心で180mほどしか離れていないので、たしかに少しだけ海側に位置する近鉄のほうが低いという可能性はあります。

国土地理院の2万5000分の1地形図を見る限り、最低所でもマイナス1mほどですが、弥富市のデータでは、弥富市立西部小前の標高は、マイナス1.9m。
名古屋市のベッドタウン化が進み、交通の便の良さから、周囲よりも地価、マンション価格も高いという弥富市ですが、「伊勢湾台風(昭和34年)の際には、住宅の2階まで浸水」という浸水被害の歴史もあります。
そうした歴史を背景に、切迫する南海トラフ地震もあって、あまり「標高が低いこと」をPRしたくないのも事実です。

実は、東京・江東区の方が海抜が低いエリアが広がっている!

亀戸水神駅

実は、この弥富駅、近鉄弥富駅よりも「もしかすると標高が低いのでは」と囁(ささや)かれるのが、東武鉄道・亀戸線の亀戸水神駅。
こちらは、東京都江東区亀戸8丁目と、東京の海抜0m地帯「江東デルタ地帯」に位置し、地下水の汲み上げによる地盤沈下もあって、江東区内には実は輪中地帯よりも標高が低い場所も。
東砂、南砂など砂の付く地名の場所は、海抜がマイナス2m以下のエリアも多く、亀戸8丁目の基準点は、マイナス1.8m。
亀戸水神駅もマイナス2mほどなので、正確な標高は公表されていませんが、江東区のデータから読み解けば、ほぼ確実に、日本一低い地上駅といえることになります。

こちらも直下型地震における液状化などの恐れもあり、日本一をPRしたくないというのがホンネでしょう。

実はPRできない!? 「日本一標高の低い地上駅」は、どこ!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

弥富駅

金魚の養殖でも知られる愛知県弥富市にあるJR東海関西本線・名鉄尾西線の駅が弥富駅(やとみえき)。明治28年5月24日、関西鉄道の名古屋 – 前ヶ須(まえがす)間開通に伴い、前ヶ須駅として開業した歴史ある駅。「0m地帯」といわれる地にあり、駅

 

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