JR難波駅の西1kmほどという大阪の中心に位置する汐見橋駅(しおみばしえき/大阪市浪速区)と岸里玉出駅(きしのさとたまでえき/西成区)を結ぶ汐見橋線。営業キロ4.6km、所要9分の短い線で、1時間に2本しかない線で、「幻のローカル線」とまで称されています。その理由は何なのでしょう?
実は汐見橋線は存在しない!
汐見橋駅は、もともと南海電鉄の前身となる高野山参詣の足として敷設した高野鉄道(こうやてつどう)が河内長野駅とを結ぶ路線の起点として明治33年9月3日に開業した道頓堀駅が始まり。
駅名からして、大阪の中心、しかも始発駅を目指していたことがわかります。
明治34年1月1日に汐見橋に改称され、明治40年、高野登山鉄道が設立され、高野鉄道の一切が高野登山鉄道に譲渡され、河内長野駅以南は高野登山鉄道により建設が進みました。
つまり、これが現在の南海高野線の前身です。
昭和5年6月、高野山駅まで全通し、いったん、近鉄になりましたが昭和22年3月、路線譲渡で南海電気鉄道の路線になっています。
実は南海高野線は、汐見橋駅〜岸里玉出駅〜極楽橋駅ということはあまり知られていません。
汐見橋線という線は実際には存在しない路線で、あくまでも通称。
それでいて、汐見橋駅〜岸里玉出駅の区間運転のため、現在では支線的な扱いになっています。
大阪・難波と高野山を結ぶのは、特急「こうや」、急行などすべて難波駅始発。
南海高野線といえば難波駅からというイメージが定着しています。
実際には難波駅〜岸里玉出駅は南海高野線ではなく南海本線で、汐見橋駅〜岸里玉出駅があくまで南海高野線ということに。
本来の南海高野線ながら、区間運転の通称・汐見橋線となり、1日の乗降人数が100人程度の駅もあることから、利用者からも廃止を危惧する声があがる路線なので、「幻のローカル線」といえなくもありません。
どうして廃止されることなく、この通称・汐見橋線が残されたかといえば、、「JR新大阪駅からJR難波駅および南海汐見橋駅を結ぶなにわ筋線」(近畿地方交通審議会の答申書)との接続計画があったから。
その後、大阪府、大阪市、JR西日本、南海などが合意した事業計画では北梅田駅(仮称)と南海新難波駅(仮称)、JR難波駅を結ぶことが決まり、汐見橋駅と結ぶ計画はなくなったのです。
そのため、地元では廃止の可能性を心配する声も多いのですが、大阪メトロ・阪神なんば線の桜川駅の開業後は、連絡乗降客も増え、目下廃止予定はないとのこと。
高野山を目指した参詣鉄道の歴史を秘めた「幻のローカル線」、難波に行く機会があれば、ぜひ乗車を。
大阪の中心を走る汐見橋線、「幻のローカル線」とも称されるのは、なぜ!? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag