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湘南電車、そして私鉄も採用した「湘南顔」とは!?

湘南電車

かつて国鉄が湘南(しょうなん)エリアに投入した中距離電車の愛称が、湘南電車。オレンジと緑のツートンカラーの電車が湘南電車というイメージがありますが、厳密には、正面2枚窓スタイルの「湘南形」という国鉄80系電車を指し、「湘南顔」は当時、私鉄にも流行するスタイルとなり、一斉を風靡したのです。

「湘南色」(緑とオレンジ)はみかんと茶葉の色!

懐かしい湘南顔、湘南色の80系は、今や昭和レトロ電車
北陸鉄道浅野川線で活躍の「湘南顔」8000系(元京王3000系)

昭和9年12月1日の丹那トンネルの完成で、東京駅〜沼津駅には電気機関車牽引の客車が走るようになりました。
その客車の国鉄内部での愛称が「湘南列車」で、昭和25年3月に電車となった際に、「湘南電車」という言葉が登場しました。
「湘南電車」としてさっそうと登場したのが、80系電車で、緑色をベースに窓の周囲をオレンジの帯としたツートンカラーを「湘南色」と呼ぶようになったのです。
当時の国鉄が定めた色名称は、緑(ダークグリーン/R53・G79・B51、#354F33)が「緑2号」、オレンジ(R202・G106・B31、CA6A1F)が「黄かん色」です。

国鉄は「みかんと茶葉にちなんだ色」とPRしていますが、アメリカのグレート・ノーザン鉄道(Great Northern Railway)の代表列車「エンパイア・ビルダー」(流線型の大陸横断列車)に用いられた焦げ茶色とオレンジの車両塗装がモチーフで、みかんと茶葉の色というのは後づけともいわれています。

このカラーリングは、80系の後継である当時の中距離通勤電車の主力である国鉄111系電車国鉄113系電車にも踏襲され、全国に湘南色の電車が走るようになったのです。

もうひとつの「湘南電車」のシンボルが、80系増備車に採用された「湘南顔」。
スマートな印象を与えるため前面2枚窓で傾斜の付いたスタイル、しかも「鼻筋が通った」顔は人気となり、EF58形(電気機関車)、DD50形(ディーゼル機関車)にも採用。
流行は大手私鉄にも波及し、西武鉄道の501系、551系、601系などに採用され、西武鉄道での運用はなくなっていますが、三重県の三岐鉄道などで現役で活躍しています。
京王帝都電鉄(京王電鉄)も京王線用2700系、3000系、井の頭線用1900系が湘南顔。
京王電鉄での運用はなくなりましたが、アルピコ交通などに譲渡されたものが活躍しています。

東京急行電鉄(東急)も5000系、京浜急行電鉄500形、700形、800形も湘南顔でした。
京成電鉄では特急「開運号」の専用車両としてデビューの1600形が湘南顔、車内にテレビ受像機が設置され、日本初のテレビカーにもなった車両です。

首都圏では湘南形を見ることもなくなりましたが、車両のステンレス化で「湘南色」も帯色として残る程度となっていますが、湘南新宿ライン、上野東京ラインの電車にもしっかりと帯は「湘南色」となっていて、湘南電車の伝統を残しています。

しなの鉄道(軽井沢駅〜長野駅)では115系電車の湘南色運用、急行電車で活躍した直流急行形電車169系(昭和43年製造)を湘南色でカラーリングし、浅間山麓を「湘南電車」が走るということで人気を呼んでいます。

しなの鉄道で活躍する115系湘南色
よく見ると湘南色の上野東京ライン
湘南電車、そして私鉄も採用した「湘南顔」とは!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

懐かしの国鉄115系電車、しなの鉄道なら現役で活躍!

昭和38年に登場し、昭和58年までの20年間に1921両も製造された直流近郊型電車115系。本州の直流区間の顔ともいえる電車ですが、今や関東近県で乗車できるのは、しなの鉄道のみとなっています。そのしなの鉄道も4年後の令和10年までに順次引退

 

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