2029年、小惑星「アポフィス」(99942 Apophis)が地球に大接近することをご存知だろうか。地球に衝突する可能性もあるという小惑星は、実は意外に多いのだとか。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運営する「美星スペースガードセンター」(岡山県井原市)でも「アポフィス」の進路を監視しています。
小惑星「アポフィス」は地球衝突の可能性も!?
2004年6月19日、アメリカ・アリゾナ州のキットピーク国立天文台(Kitt Peak National Observatory)が発見した小惑星が「アポフィス」(99942 Apophis)。
地球軌道のすぐ外側から金星軌道付近までの楕円軌道を、323日かけて公転する直径340mほどの小惑星で、古代エジプトの悪神アペプ(ギリシア語でアポピス、ラテン語でアポフィス)に由来する名前です。
2004年12月24日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2029年4月13日(金曜日)に地球に衝突する確率を300分の1と発表、さらにその日のうちに衝突する確率を62分の1(1.6%)に引き上げています。
12月25日には様々な観測結果から衝突確率を42分の1(2.4%)まで引き上げましたが、12月27日には2029年に限っては衝突の可能性はないと発表しています。
現在の研究では地表からおよそ3万2000km離れた、静止衛星の軌道より近い場所を通過すると予測され、日本国内でも産学国際連携による小惑星探査プロジェクト「Project Apophis」も立ち上げっています。
ただし、最新のシミュレーションによると、アポフィスに別の小天体が衝突した場合、軌道が変化する可能性がごくわずかながら地球に衝突する可能性も残されているとのことですが、アポフィスは2021年半ばから2027年まで太陽の影に入っていて観測できないことから、追跡調査は2027年以降に再スタートということに。
アメリカ、アリゾナ州にある直径1.2kmのバリンジャー・クレーターは、5万年ほど前に直径わずか30m〜50mの隕石が衝突した跡で、深さは200mもあります。
半径14km〜22kmの範囲は、なにもない荒野に変えるほどの衝撃だったとされるので、アポフィスの大きさの小惑星が地球に激突となれば、その影響は想像を絶します。
岡山県井原市で、スペースガード(Space Guard)
あまり知られていませんが、日本には、NPO日本スペースガード協会という組織があり、地球に接近する小惑星を監視しています。
天体の地球衝突による災害から地球環境を守ることを目指し、 1996年10月に設立した団体で、監視のために運用するのが岡山県井原市にある「美星スペースガードセンター」なのです。
アポフィスの接近だけでなく、日夜地球に接近する小惑星を監視。
発見された地球接近小惑星は2025年1月1日〜10日の間だけでも72個に及んでいます。
そのHPを見ると、「2022 CE2」と名付けられた大きさ63m〜200mほどの小惑星が月までの距離の11.08倍の位置を通過(最接近は2025年1月16日20:29)などと、最新の監視結果が発表されています。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運営する「美星スペースガードセンター」は、口径1mの大型光学望遠鏡を用いてスペースデブリや地球近傍小惑星を観測する施設で、美星天文台脇に建っています。
その観測業務を行なっているのが日本スペースガード協会です。
地球に衝突する恐れのある地球近傍天体(NEO)を発見・観測するスペースガード(Space Guard)は、現在、日本、アメリカ、オーストラリア、フィンランド、イギリス、ドイツ、イタリアの7ヶ国が協力して観測を行ない、情報を共有しています。
国内では光学観測の「美星スペースガードセンター」のほか、スペースデブリ(宇宙ゴミ)のレーダ観測施設として岡山県苫田郡鏡野町に「上斎原スペースガードセンター」が設置されています。
小惑星「アポフィス」が地球に大接近! それを監視する「美星スペースガードセンター」とは!? | |
名称 | 美星スペースガードセンター/びせいすぺーすがーどせんたー |
所在地 | 岡山県井原市美星町大倉1716-3 |
関連HP | JAXA公式ホームページ |
電車・バスで | 井原鉄道小田駅からタクシーで17分 |
ドライブで | 山陽自動車道笠岡ICから約21km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 美星スペースガードセンター TEL:0866-87-9071 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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