都営地下鉄新宿線は2025年3月のダイヤ改正で、「急行」を増やして速達性向上を図っています。首都圏では速達運転のルーツである東京メトロ東西線に「快速」、東京メトロ副都心線に「急行」、横浜市営地下鉄ブルーラインに「快速」などが運転されていますが、実は関西の地下鉄には速達列車はありません。
東京メトロ東西線が速達列車のルーツ
日本の地下鉄で速達列車は東京メトロ東西線で昭和44年3月29日の東陽町〜西船橋間延伸開業(全線開通)時に「快速」が誕生したのが始まり。
並走する国鉄(現・JR東日本)中央・総武線(各駅停車)の混雑緩和を目的に、東陽町駅〜西船橋駅間の途中駅を通過する「快速」が誕生しました。
現在でも「快速」が存在し、東陽町駅〜西船橋駅間で速達運転が行なわれています。
京王新線と直通乗り入れする都営地下鉄新宿線は、日本で唯一の軌間1372mm(馬車鉄道がルーツの軌間)の地下鉄。
平成9年12月24日に「急行」が設定されています。
当初は都営地下鉄新宿線内のみを平日日中の速達性向上で運転されていましたが、平成13年3月27日のダイヤ改正で、土休日にも拡大しています。
速達列車の運転は東西線の快速に次いで2例目ですが、全区間で通過駅が設定されたのは、初の例。
しかも2025年3月のダイヤ改正で「急行」が増えていることからも、成功例であることがわかります。
東京メトロ副都心線も10両編成の「急行」、「通勤急行」(普通列車は8両編成)が運転され、私鉄と変わらない雰囲気の地下鉄です。
渋谷駅からの東急東横線、東急線経由での相鉄線(東急新横浜線、相鉄新横浜線経由相鉄本線、いずみ野線)、小竹向原駅からの西武線(西武有楽町線経由池袋線)、和光市駅からの東武東上線という近郊の私鉄に直通乗り入れすることで、速達列車もかなり有効な移動手段となっています。
しかも横浜高速鉄道、東急電鉄、東武鉄道、西武鉄道に直通運転する列車のうち、日中の最速達種別で運行する「急行」(副都心線内)には「Fライナー」という名前が付けられ、その速達性をアピールしています。
横浜市営地下鉄ブルーラインにも「快速」が設定され、戸塚〜 新羽駅で快速運転が行なわれています。
このほか、直通乗り入れのため、都営浅草線には京急線の「エアポート快特」、東京メトロ千代田線には小田急ロマンスカー(特急)が走っています。
かつて、神戸市営地下鉄に「快速」が走ったことも
関西の地下鉄で運転される速達列車はゼロ。
過去には神戸市営地下鉄西神・山手線で、平成5年7月9日に西神中央〜新神戸間で速達運転を行なう「快速」が誕生しますが、平成7年1月17日の阪神・淡路大震災の被災をきっかけに、復興という目的もあって「快速」運転が運休、その後廃止されています。
神戸市営地下鉄の「快速」は、西神中央〜新神戸間を現在よりも6分早い26分で結んでいましたが(10時台〜17時台に1時間あたり2本運転)、「快速」復活を求める声はあるものの、実現する見込みはありません。
かつて快速が止まった名谷駅、西神中央駅の乗降客が減少していること、逆に通過駅だった西神南駅は3倍増で、通過駅を設定すること事態が困難というのが大きな理由です。
関西の地下鉄駅には待避場所も少ないことから(神戸市営地下鉄西神・山手線では名谷駅のみ)、速達列車を走らせるのが難しいのです。
横浜市営地下鉄ブルーラインも車両基地のある2駅でのみ各停の追い越しが可能で、朝夕のラッシュ時間帯は過密ダイヤで、「快速」を走らせるのは難しいとのこと。
かなりのネックを乗り越えて、東京を走る地下鉄の速達列車。
もう少し、「お得感」、「便利さ」を感じたほうがいいのかもしれません。
地下鉄に「急行」「快速」があるのは首都圏だけ! 関西にはない理由とは!? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag