米どころでもある宮崎県えびの市の田園地帯には、「田の神さぁ」(たのかんさあ)と呼ばれる摩訶不思議な石像があります。路傍の地蔵尊などと違うのは、その形状がバラエティ豊かで、「元祖野外彫刻」ともいえるような自由度の高い造形さにあります。えびの市内に150体が現存するといわれ、「田の神さぁ」巡りを楽しむことができます。
旧薩摩藩領には2000体以上が現存!
田の神は、山里の人々が信仰する山の神が、春は里に降臨して、田の神となって田を守り、豊作をもたらすといわれるもの。
日本古来の農村信仰で、かかしも田の神のひとつ。
えびの市の田の神信仰は、江戸時代から「田の神石像」となって変化しています。
霧島の噴火・天災などを背景に薩摩藩は財政の健全化を目的に稲作を奨励しましたが、霧島火山の沈静化、稲作に不向きなシラス土壌での豊作祈願などの願いを込めて作られたのが「田の神石像」です。
えびの市内に現存する「田の神石像」で最古のものは中島地区にある神官型で、享保9年(1724年)作。
地元では「田の神さぁ(たのかんさあ)」と呼ばれ、えびの市内だけで150体、旧薩摩藩全体(旧薩摩藩領にあたる鹿児島県から宮崎県の南西部)では2300体ほどが現存すると推測されています。
現存する最古の「田の神さぁ」は、宝永2年(1705年)作の「紫尾の田の神」(鹿児島県さつま町)、宮崎県側では小林市新田場の享保5年(1720年)なので18世紀ころから作り始められたと推測できます。
えびの市内には当番の家が田の神像に化粧を施し、ごちそうを作り大事に床の間に祀るという『回り田の神』の風習も残されています。
えびの市にある摩訶不思議な「田の神さぁ」とは!? | |
所在地 | 宮崎県えびの市末永 |
場所 | 田の神さぁ |
関連HP | 宮崎県えびの市観光協会 |
ドライブで | 九州自動車道えびのICから約4km |
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