東京都北区滝野川2丁目、赤煉瓦酒造工場とも称されるのが、旧醸造試験所第一工場。日本酒の研究を行なって醸造技術と品質の向上を図るため明治37年に完成した政府機関の遺構で、第一工場はその中核施設。設計は大蔵技師・妻木頼黄(つまきよりなか)で、国の重要文化財に指定されています。
妻木頼黄が設計の赤レンガ建築は国の重要文化財
妻木頼黄がドイツのビール醸造施設を応用して設計した近代的な日本酒の醸造場で、断熱のため厚い赤レンガの壁に空気層をつくる中空壁を設け、天井はヴォールト天井、2階の床には鉄骨梁に煉瓦ヴォールトを架けるなど高い建築技術で建築され、最新鋭の設備を備えていました。
醸造に関する唯一の国立研究機関の施設として日本酒造りの近代化、さらに酒類産業の発展に貢献。
醸造試験所(現・独立行政法人酒類総合研究所)として使われましたが、酒類総合研究所東京事務所が平成27年7月10日、広島事務所に移転したことから平成28年4月からは文化庁の所管となり、現在は公益財団法人日本醸造協会が管理しています。
10名〜25名の団体なら、1ヶ月前までの予約で、平日9:00~17:00の観覧(観覧時間は1時間ほど)が可能です。
また各種のイベントなどが行なわれ、活用されています。
明治時代、王子の豊富な水力を利用し、渋沢栄一が洋紙の国内自給を目指して製紙工場(王子製紙王子工場)を建設、日本の近代化を支えたエリアです。
旧醸造試験所第一工場に隣接して北側に醸造試験所跡地公園が、東側には飛鳥山公園(公園内に渋沢史料館)があり、散策にも絶好です。
醸造試験所跡地公園のある場所は、幕末に徳川幕府が大砲製造所を設置した地で、そのために掘削した用水路(千川上水の王子分水)と石神井川・隅田川の舟運が利用できることから、近代的な工場が建てられたのです(明治維新となって大砲製造所は建設されませんでした)。
妻木頼黄の設計は、旧丸三麦酒醸造工場(現・半田赤レンガ建物/明治31年築・国の登録有形文化財)、旧日本勧業銀行本店(現・千葉トヨペット/明治32年築・国の登録有形文化財)、旧横浜正金銀行本店(現・神奈川県立歴史博物館/明治37年築・国の重要文化財)、旧横浜新港埠頭倉庫(現・横浜赤レンガ倉庫/明治44年築、文化財指定なし、日本国内で初めて「ユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞」の優秀賞受賞)、日本橋(明治44年築・国の重要文化財)、旧山口県庁舎(現・山口県政資料館/大正3年築、国の重要文化財)などで有名ですが、旧醸造試験所第一工場もそのひとつ。
赤煉瓦酒造工場(旧醸造試験所第一工場) | |
名称 | 赤煉瓦酒造工場(旧醸造試験所第一工場)/あかれんがしゅぞうこうじょう(きゅうじょうぞうしけんじょだいいちこうじょう) |
所在地 | 東京都北区滝野川2-6-30 |
関連HP | 日本醸造協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR・東京メトロ王子駅から徒歩10分 |
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