東京都港区港南1丁目、JR高輪ゲートウェイ駅の東側にあるのが、東京都水道局の下水処理場である芝浦水再生センター。施設の上部は、芝浦中央公園が整備されていますが、その地下は昭和6年に稼働した東京で3番目に古い水再生センターで、処理した水は東京湾(運河)へ放流されています。
昭和6年完成の芝浦汚水処分場が前身で、現在は最新の施設に
東京都水道局が所管する都内20ヶ所の水再生センター(区部13ヶ所、多摩地域7ヶ所)のひとつで、予約で見学が可能(見学希望の日の前月から電話または予約サイトから受付/工事などで見学が不可の場合もあります)。
昭和6年に完成した下水処理場で、かつては周囲は港湾倉庫でしたが、現在は近代的なオフィスビルが建ち並び、令和2年3月14日にはJR高輪ゲートウェイ駅も開業しています。
芝浦水再生センターの下水処理区域は、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の大部分と品川区、文京区、目黒区、世田谷区、豊島区の一部で、面積は6440haにも及びます(JR山手線の内側の広さに相当)。
処理水は東京湾(運河)に流されるほか、繊維ろ過し、オゾンによってさらにきれいにしてから近隣地区のオフィスにトイレ用水にも供給されています。
さらに平成27年4月、東京湾の水質改善に貢献する施設として、雨天時貯留池(7万6000立方メートル)が完成していますが、都市計画法の11条3項による「立体都市計画制度」を利用してその上部が「品川シーズンテラス」(地上32階、地下1階、国内トップクラスの省エネ性能を誇る地上高144mの超高層ビル)になっていて、芝浦水再生センターの下水熱や再生水を供給、ビル全体の空調熱源やトイレ用水などに利用されています。
敷地全体に人工地盤を構築、空間を地表面で上下に二分して、地下の空間のみが下水処理場と雨天時貯留池という近代的な水再生センターなので、見学を希望する人が多いのもよくわかります。
戦前からの汚水処分場(水再生センター)は都内に3ヶ所
東京の近代下水道の始まりは明治17年から運用が始まった「神田下水」。
明治半ばにはコレラの流行もあり、下水道の整備と汚水の処理は重要な課題となり、明治33年に最初の下水道法が施行されています。
明治40年、東京大学の中島鋭治博士は、東京市を3つに区分(第一区・芝浦系統、第二区・三河島系統、第三区・砂町系統)し、地区ごとの汚水処分場の処理水を川や海に放流しようとする「東京市下水道設計」を立案、大規模な下水道工事が始まりました(ただし、東京市の予定人口を300万人とした計画です)。
国内で最初の近代下水道施設は、三河島水再生センターにある三河島汚水処分場喞筒場施設(みかわじまおすいしょぶんじょうぽんぷじょうしせつ/現在、「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」として国の重要文化財に指定)で大正11年3月に運用を開始したもの。
2番目が昭和5年の砂町汚水処分場(現・砂町水再生センター)、3番目が昭和6年の芝浦汚水処分場(現・芝浦水再生センター)で、戦前からある水再生センターは以上の3ヶ所のみで、東京23区で100%の汚水処理となったのは平成6年のことです。
芝浦水再生センター | |
名称 | 芝浦水再生センター/しばうらみずさいせいせんたー |
所在地 | 東京都港区港南1-2-28 |
関連HP | 東京都下水道局公式ホームページ |
電車・バスで | JR・京浜急行品川駅から徒歩10分 |
問い合わせ | 芝浦水再生センター TEL:03-3472-6411/水再生センター見学受付窓口 TEL:03-3241-0944(9:00~17:00、平日のみ) |
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