富山県立山町、立山登拝の基地として栄えた芦峅寺(あしくらじ)にはかつて33の宿坊がありましたが、現存する貴重な往時の宿坊建築が善道坊。集落内にあったものを富山県立立山博物館のまんだら遊苑に移築保存したもので、内部には江戸時代の宿坊関係資料が展示されています。
映画『剱岳点の記』のロケにも使われた宿坊
芦峅寺は、立山信仰の拠点、そして立山禅定道の登山口として栄えた集落。
宿坊は全国から来た参拝者の宿泊、登拝案内、さらには宗教的儀式も行なっていました。
また立山開山縁起や、立山地獄と極楽浄土を図解する『立山曼荼羅』(たてやままんだら)を絵解きして、立山信仰を喧伝。
冬の農閑期には、全国に広がる立山衆徒の檀那場(立山信仰の信者が集中する地で、青森から鹿児島まで)へ赴き、庄屋の家で『立山曼荼羅』を絵解きし、立山登拝や登拝を禁じられた女性には『布橋灌頂会』への参加を促す「諸国檀那場廻り」という布教活動を行ないました。
明治の神仏分離、廃仏毀釈で立山信仰の仏教的要素が否定され、神道を取り入れた政府により弾圧されたことで壊滅的な打撃を受け、芦峅寺は廃寺に、そして宿坊も半減(近代登山の黎明期には、立山連峰の名ガイドを生んでいます)。
第二次世界大戦の開戦時には、善道坊、日光坊、大仙坊、泉蔵坊の4坊だけになっていました。
善道坊は、建築面積42坪。
「坊造り」様式で、玄関を入った中心部は、須弥壇などの宗教的施設、向かって左側が家人の日常生活の間、右側が参詣者の宿泊する場所で、3列6室の客室がありました。
現在、見学ができる唯一の宿坊遺構で、平成21年公開の映画『剱岳点の記』のロケにも使われています。
名称 | 善道坊/ぜんどうぼう |
所在地 | 富山県中新川郡立山町芦峅寺 |
関連HP | 立山博物館公式ホームページ |
ドライブで | 北陸自動車道流杉スマートICから約20km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 立山博物館 TEL:076-481-1216/FAX:076-481-1144 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag