北限のブナ林が、渡島半島の黒松内町にあります。それが歌才ブナ林。北海道遺産に登録されてはいますが、まだまだ訪れる人は多くはありません。日本のブナは、南は鹿児島県大隅半島から北は北海道渡島半島まで分布します。寿都(すっつ)と長万部(おしゃまんべ)を結ぶ「黒松内低地帯」がブナの北限になっています。
黒松内以北にどうしてブナが分布しないのかは、謎!
大正13年、国の天然記念物指定に向けて調査員として歌才ブナ林を訪れた新島善直博士は、「かくのごとき原始林を残留せるは奇跡というべし」と見事なブナの森を讃えました。
戦時中もプロペラに使う木材に最適と、ブナの伐採計画が持ち上がりましたが、北海道大学館脇操教授がその学術的な価値を強調したため、伐採を免れ、現在92haが天然記念物になっています。
ブナは温帯を代表する樹種ですが、黒松内以北にどうしてブナが分布しないのかは、学術的にはっきりとした結論が出されておらず、今もなお研究が続く謎になっています。
「北限のブナ林」として北海道遺産にも認定されています。
葉の大きさは九州のブナの4倍!
歌才ブナ林は全域が国有林で、ブナの順林の中に往復4km、所要2時間ほどの遊歩道が整備されています。
ブナの森の新緑は6月、黃葉は10月中旬〜下旬頃です。
縄文時代には北海道にもブナ林が発達していましたが、その後、大きく後退し、直近でブナが北海道に上陸し、現在の黒松内低地帯に到達した時期については、花粉分析によりほぼ680年前と確定しています。
なぜ、黒松内が北限なのか? ブナの森は北上しているのか、それとも南下しているのか? いずれも明確な答えは出ていません。
ハッキリしているのは、本州の葉っぱより、北海道の葉はデカイことくらい。
九州など南限域の約4倍もの面積のある巨大な葉は、短い夏にしっかりと太陽光線を受け止めようということでしょう。
樹木の生長も早いのですが、国内のブナの平均寿命が250年なのに対して、歌才では170年ほどと早死にの傾向があります。
白神山地のように巨木もないので、少し派手さにかけるかもしれません。
狩場山の山塊のブナ林にも注目を!
寿都郡黒松内町の歌才がブナの森の北限ですが、実は寿都と長万部を結ぶ「黒松内低地帯」で見逃されているブナの森が「狩場山の山塊のブナ林」です。
狩場山の山塊のブナ林(寿都郡島牧村)は1万700ha(なんと歌才ブナ林の116倍の規模があります)でこれは環境庁の緑の国勢調査においてランキングナンバー1に位置付けされており、全国一です。
狩場山自然休養林1648haはほとんどブナで、ブナの遺伝資源保存林154haなども設定されており貴重な資源として伐採が禁止されて保存されています。
歌才ブナ林 | |
名称 | 歌才ブナ林/うたさいぶなりん |
所在地 | 北海道寿都郡黒松内黒松内 |
駐車場 | 歌才ブナ林駐車公園(15台/無料) |
問い合わせ | 黒松内町ブナセンター TEL:0136-72-4411 |
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