気象庁は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山に認定していますが、その数は111。2025年6月になって噴火警戒レベルが引き上げられたり、火山活動が活発した火山が9火山あり、気象庁は警戒を呼びかけていますが、何やら列島全体で火山活動が活発化しているような雰囲気です。
日本列島は火山の活動期に入った!?
2011年3月の東日本大震災以降、日本列島が火山の活動期に入ったと考える研究者もいますが、それは地殻(プレート)の変動が地下のマグマを刺激しているから(データ的には東北地震の後に噴火した火山の数に顕著な変化はありません)。
実は、多くの火山学者は、2011年3月以前には「日本の20世紀の火山活動は、あまりに活発でなかった」ことを気にしていたほどで、火山列島と呼ばれる日本でも、大噴火を長い間経験してきませんでした。
最後の大噴火といえるのが桜島の大正大噴火ですが、すでに100年以上前の1914年のこと。
このときの噴火で桜島は大隅半島と陸続きになっているのです。
記憶に新しいところでは全島避難の伊豆大島や三宅島の噴火、さらには雲仙・普賢岳の噴火もありましたが、実は大量のマグマを噴出する大噴火ではありません。
東京大学名誉教授で2017年6月20日まで気象庁火山噴火予知連絡会会長だった藤井敏嗣(ふじいとしつぐ)氏も「20世紀は異様に静穏な時期が続いたので、今後、21世紀中には大噴火が複数回生じてもおかしくない」と警戒を呼びかけています。
地下でマグマが繋がっているわけではないので、南西諸島と伊豆諸島など、遠く離れた火山活動が連鎖するとは考えづらいのですが、東日本大震災のように火山を支えるプレートに働く力が変動すると、マグマへの圧力が下がり、噴火が連動する危険性は生じます。
東日本大震災以降、火山活動が活発化している日本列島ですが、火山の噴火が海溝型巨大地震や直下型地震の前兆となることを示す科学的証拠はないので、ひとまず火山活動と地震は分けて考えるのが賢明ということに。
画像協力/海上保安庁
2025年6月現在、気象庁が注視する9火山
火山名 | 県名 | 噴火警戒 レベル | 現在の火山活動の内容 |
岩手山 | 岩手 | 2 | GNSS連続観測で山体の深いところの膨張を示す地殻変動を観測 直近6月も大地獄谷付近のごく浅いところで膨張を観測 |
草津白根山 | 群馬 | 1 | 6月から湯釜で緩やかな地殻変動が継続、火山活動が増加 |
浅間山 | 群馬 長野 | 2 | 2024年4月中旬以降、火山活動が増加した状態が継続 |
三宅島 | 東京 | 2 | 山頂火口直下の地震活動が活発化 6月17日に噴火警戒レベルを1から2に引き上げ |
新燃岳 | 鹿児島 | 3 | 火山活動が活発化し、噴火が続く 6月23日、噴火警戒レベルを2から3に引き上げ |
桜島 | 鹿児島 | 3 | 火山性地震が頻発 |
口永良部島 | 鹿児島 | 3 | 4月上旬から山体の浅いところで地震活動が活発化 火山性地震の多い状態が継続 |
薩摩硫黄島 | 鹿児島 | 3 | 6月23日、硫黄岳火口で白色の噴煙が400m噴出 |
諏訪之瀬島 | 鹿児島 | 3 | 6月23日、御岳火口で噴火が発生 |
日本列島の火山活動が活発化!? 「噴火の危険がある9火山」 | |
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