日本全国には111もの活火山がありますが、中部地方には13。富士山、焼岳など誰もが知っている有名な活火山もあれば、なかには北アルプス・安房峠近くのアカンダナ山のようにノーマークの活火山も。また、伊豆の大室山は伊豆半島東部火山群、八ヶ岳の横岳も立派な活火山です。
箱根山|静岡県・神奈川県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:東西8km、南北12kmのカルデラ火山で、成層火山の神山や駒ヶ岳、二子山などの溶岩ドーム群は中央火口丘
主峰の神山の北側に活発な噴気地帯である大涌谷と早雲山があり、駒ヶ岳東麓にも湯の花沢・硫黄山噴気地帯を有しています
大涌谷周辺の想定火口域では、活発な噴気活動が続いています
火山の歴史:有史以来、噴火の記録はありませんが、8000年前の神山山頂付近の噴火、5700年前の二子山溶岩ドームの噴火はマグマ噴火です
3200年前の神山のマグマ噴火は、神山の北側が山体崩壊し、冠ヶ岳(溶岩ドーム)が形成、山体崩壊により岩屑なだれが発生し、早川を堰き止めて芦ノ湖が誕生しています
大涌谷では過去にも水蒸気爆発があったことがわかっています
富士山|静岡県・山梨県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:小御岳(こみたけ)火山、古富士火山の両火山上に生成した成層火山で、基底は直径 50kmにも及びます
美しい姿ですが、実は側火山(寄生火山)も100個ほどあります
火山の歴史:貞観6年〜7年(864年〜866年)の貞観大噴火では、溶岩流が剗の海(せのうみ)に達して精進湖と西湖を分断、青木ヶ原樹海を生んでいます
直近の大噴火は、宝永4年(1707年)の宝永大噴火で、江戸にも多量の降灰、川崎宿では5cmも積りました
伊豆東部火山群|静岡県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:伊豆東部火山群に含まれる火山は、60を越え、さらには伊東市の東方沖3kmの海底火山・手石海丘(昭和64年海底噴火)などの海底火山が隠れています
伊豆高原の溶岩台地や、城ヶ崎海岸の奇観も実はこの大室山から流出した溶岩流
火山の歴史:伊豆半島東部のあちこちで約15万年前から噴火が続き、伊豆高原の瞳ともいわれる一碧湖(いっぺきこ)も実は約10万年前の噴火によってできた火口湖で、小室山も約1万5000年前の噴火で生まれた火山
大室山は4000年ほど前に誕生
平成元年には伊東湾の手石海丘で海底噴火も(小規模なマグマ水蒸気爆発)
浅間山|長野県・群馬県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル2(火口周辺規制)
内容:成層火山の黒斑(くろふ)火山、仏岩火山が形成後に前掛火山が活動を開始、山頂部の釜山山頂火口(500m×440m)は現在も活動中
山頂火口から2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石や火砕流に警戒する必要があり、立入禁止になっています
火山の歴史:有史以降数十回の火山活動はすべて山頂噴火で、爆発型(ブルカノ式)噴火が特徴で、火砕流を起こしやすいという危険性を有しています
大規模噴火は天明3年(1783年)の噴火で日本のポンペイという鎌原火砕流、そして鬼押出し溶岩流を発生(死者1151名、流失家屋1061棟)
昭和48年には中規模なマグマ噴火がありました
横岳|長野県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:八ヶ岳火山列北端に位置する厚い溶岩流と溶岩ドームからなる火山
東西4km、南北2km の小規模な火山ですが、登山者の多くが活火山であることを知りません
火山の歴史:600年~800年前に溶岩流の流出を伴う噴火があったことがわかっています(その時の噴火で八丁平溶岩が流出した可能性も)
焼岳|長野県・岐阜県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:西穂高岳から南に続く焼岳火山群は、北から割谷山(わるだにやま)、焼岳、白谷山(しらたにやま)、アカンダナ山と並びますが、今なお噴煙を上げ、活発な火山活動を展開するのが焼岳
火山の歴史:焼岳の形成は 1万5000年前頃から始まったという新しい火山で、2300年前のマグマ噴火で焼岳円頂丘溶岩と中尾火砕流が噴出
その後も水蒸気噴火を繰り返し、
大正4年の大正池火口での噴火(中規模な水蒸気噴火)では泥流が梓川を堰き止め、大正池が誕生
アカンダナ山|長野県・岐阜県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:長野県松本市と岐阜県高山市の境、安房峠の北西にそびえる2109.43mのピーク
三等三角点のある山頂は溶岩ドームです
南東の安房山との鞍部が、安房峠で、峠からの登山道もないため、ほとんど無名の存在
平成15年の活火山見直しで焼岳とは別に新たに活火山の仲間入りをしました
火山の歴史:およそ1 万年前から火山活動を行なう、新しい火山
有史以来記録に残る火山活動はありません
乗鞍岳|長野県・岐阜県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:複数の火山が南北方向に配列した複合火山体で、千町火山体(古期乗鞍火山)、烏帽子火山体、四ッ岳火山体、恵比須火山体、権現池・高天ヶ原火山体(新期乗鞍火山)に区分されます
山頂部には火口湖、せき止め湖など多くの池がありますが、噴気地帯はありません
火山の歴史:9600年前と9200年前頃に剣ヶ峰で噴火、さらに2000年前に恵比須岳で噴火が起こっていることがわかっていますが、有史以来の噴火の記録はありません
御嶽山|長野県・岐阜県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル2(火口周辺規制)
内容:乗鞍火山列の南端に位置する成層火山で、王滝山頂の西側と地獄谷内に噴気地域を有しています
火山の歴史:最近2万年間は、水蒸気噴火などの新鮮なマグマを放出しない活動のみと考えられ、かつては休火山ともいわれたことがありましたが、最近の研究では、過去1 万年間に4回のマグマ噴火が発生していることが明らかになっています
平成26年の水蒸気噴火では登山者63名が犠牲に
新潟焼山|新潟県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:標高2000m前後の山地を基盤とする比高400mほどのドーム状の小型成層火山で、山頂部は溶岩ドーム
火山の歴史:3000年前頃に火山活動が始まった若い火山
20世紀に入っても小規模な水蒸気爆発が発生、昭和49年には山頂付近でキャンプ中の登山者3名が犠牲になっています
妙高山|新潟県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:安山岩の成層火山で、山頂部に直径3kmの爆発カルデラ、その中に中央火口丘の妙高山溶岩ドームがそびえています
南側の火口原には噴気地帯(地獄谷)があり、今も活発な火山活動を展開
火山の歴史:30万年前から活動を開始し、長い休止期をはさむ4回の活動期によって形成
山頂のカルデラは比較的に新しく2万年前からの火山活動で形成
5300年前と 4200年前には、大規模な活動によって赤倉火砕流と大田切川火砕流が噴出、4200年前の火山活動が最後のマグマ噴火
最新の爆発は3000年前の水蒸気噴火です
立山弥陀ヶ原|富山県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:成層火山の山頂部が侵食され、巨大な溶岩台地が残されたもの
室堂の地獄谷では今も活発に噴気を上げています
火山の歴史:最近の4万年間は静穏期で、地獄谷など爆裂火口群の水蒸気爆発と地獄谷の噴気孔・温泉活動が主な火山活動です
昭和21年と昭和24年に水蒸気噴火的な活動が記録されています
白山|石川県・岐阜県 【常時観測火山】
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:侵食・開析によって分 断された古白山火山体の南斜面に、10 万年より新しい新白山火山がのるかたちで、最高峰の御前峰は、新白山成層火山体の山頂部、東向き崩壊壁の最高所です
地獄谷、白川谷など山麓に噴気地帯を有していますが、山頂部にはありません
火山の歴史:過去1万年の間にも溶岩流出や溶岩ドームを形成すす火山活動があり、5400~4900 年前頃に山体崩壊が発生し、山体の東側を失っています
2200年前頃には崩壊した凹地の中で噴火が起こり、剣ヶ峰の溶岩ドームが形成され、白水滝 溶岩が流出
戦国時代〜江戸時代初期にも噴火の記録があります
噴火の危険は!? 「中部地方にある活火山」13をチェック | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag