和歌山県和歌山市毛見にあるかつて和歌山市一帯を走った路面電車、南海和歌山軌道線(開削時は和歌山水力電気、昭和46年に廃止)の隧道(トンネル)が、鵬雲洞(ほううんどう)。鵬雲洞周辺の廃線跡は紀三井寺緑道として整備され、廃線歩きにも絶好です。
かつては路面電車が走ったトンネルが現存
和歌山水力電気は、明治38年に会社を設立し、日高川に越方発電所を設置し、明治40年に発電事業を開始。
その電気を活かして、明治42年1月23日に県庁前(廃止時は市役所前)〜和歌浦口に電気軌道を開業。
さらに延伸し、11月には和歌浦〜紀三井寺間が開業しています。
明治44年1月3日には紀三井寺〜琴の浦間が開業していますが、この延伸時に船尾山(ふのおやま)に掘削した隧道(トンネル)が現存する鵬雲洞です。
路面電車ながら、明治44年に延伸した紀三井寺~琴の浦間(3.86km)は専用軌道になっていました。
この紀三井寺〜琴の浦間の専用軌道は、現在、紀三井寺緑道として整備され、廃線跡歩きを楽しむことができます。
紀三井寺緑道途中にある鵬雲洞は、全長184.47m、往時は素掘りだったようですが、現在はモルタルが塗装され、保線員の退避所は埋められています。
坑門部分は、迫石と帯石、笠石を使い、壁面はイギリス積みのレンガで、和歌山側には楷書で「鵬雲洞」、海南側には篆書で「天開圖畫」と記した扁額が掛けられ、当初から鵬雲洞という名が付いていたことがわかります。
船尾山には鵬雲洞のほか、大正14年の毛見隧道(全長142.0m)、昭和46年に開通した新毛見トンネル(国道42号下り線)、平成6年に開通した新毛見トンネル(国道42号上り線)の計4本のトンネルがあり、トンネルの変遷を目にすることができます。
鵬雲洞と毛見隧道は土木学会推奨の土木遺産にも認定。
和歌山市内の岡公園には、市街電車321形321号が静態保存されています。
鵬雲洞 | |
名称 | 鵬雲洞/ほううんどう |
所在地 | 和歌山県和歌山市毛見 |
電車・バスで | JR紀三井寺駅から和歌山市バス琴の浦経由マリーナシティ行きで10分、琴の浦下車、徒歩5分 |
ドライブで | 阪和自動車道和歌山南スマートICから約8km |
駐車場 | 紀三井寺公園駐車場(600台/無料) |
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