いずれの宗派にも属さないという善光寺。全国から善男善女が集まりますが、実は、参詣者を仏の世界に誘うための、感動の仕掛け、隠された様々なトリックが隠されています。そのトリックを紐解く企画。PART1は石畳に隠されたトリックと、六地蔵に仕込まれた仕掛けです。
TRICK1 石畳に隠されたトリック
善光寺参拝時の路線バスの下車バス停が善光寺大門。
善光寺大門地区は、かつては旅籠(はたご=宿)が軒を並べていた場所です。
バスを降りたら境内地入口から三門下までの395mに敷かれている石畳にまずはご注目。
車の場合は、北参道などに駐車場がありますが、できれば、この南側、大門エリアから歩くことがおすすめです。
善光寺は、山内にある天台宗の「大勧進」と支院25院、浄土宗の「大本願」と塔頭14坊によって護持・運営されている特殊な寺院で、善光寺やその支院・塔頭には檀家はありません。
檀家がないので葬式による収入もゼロ。
にもかかわらず、足下に敷かれた幅5.4m、横12枚に敷かれた石も実はすべて寄進です。
正徳4(1714年)、江戸中橋の大竹屋平兵衛より寄進されたもので、
「数えたことはありませんが、古来より7777枚あるといわれています」
(善光寺事務局)とのこと。
いずれの宗派にも属さず、庶民の浄財によって建てられたという善光寺らしい話。
この参道を歩くと、左右に塔頭寺院、そして仁王門から三門(山門)へと続いています。
遠くに見えていた三門が徐々に近くなってくる高揚感!
普段は仏教に興味を持たない人に、「歩くことで高揚感をもたらす」という効果を狙っていることに間違いないでしょう。
しかも石畳の石は進行方向に向かって縦長に置く、日本の伝統的な石の配置。
「三門を遙かかなたに見せる」という演出も隠されているのです。
下の写真からもそんなトリックが見てとれます。
「善光寺は7年に一度、御開帳されますが、7年に一度のビッグイベントを設けているのも、全国の善男善女に7年に一度、仏縁を結ぶ機会を設けようという試みなのだと思えます」(善光寺事務局)。
TRICK2 六地蔵にもこんな仕掛けが
石畳の参道を歩き、仲見世通りを過ぎて駒返り橋を渡ると右手に六地蔵が見えてきます。
そろそろ参道歩きに飽きたかなと思う頃に、次なる仕掛けが。
六地蔵は宝暦9年(1759年)、初代が造立と善光寺の歴史のなかでは比較的に新しいもの(現在の六地蔵は第二次大戦で銅製品供出により、昭和29年に再興)。
六地蔵は、地獄道、餓鬼道(がきどう)、畜生道、阿修羅道(あしゅらどう)、人道、天道という仏教の六道(ろくどう)を現し、人は因果応報(いんがおうほう=生前の業の報い)により、死後はこの六道を輪廻転生(りんねてんせい)する(生死を繰返しながら流転する)とされているのです。
「六地蔵は、六の世界に赴き、迷える人を救おうという誓願を起こされている(人間の苦しみを救ってくださる)尊い存在です」
(善光寺事務局)。
そんなありがたい六地蔵、じっくりと見てください!
向かっていちばん右のお地蔵様(地獄界担当の大定智悲地蔵)にご注目。
蓮台から左足を下ろしています。
誰かが地獄へ落ちそうになったら、すぐに駆けつけることができるようにという態勢を現しているのだとか。まさに「仏教界のレスキュー隊」なのです。
善光寺に隠されたトリックを探せ!(PART1) 石畳&六地蔵 | |
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