日本一短い地名は千葉県にあり!

日本で一番短い地名はどこにあるのでしょう?
短い町村名といえばまず浮かぶのが三重県の県庁所在地、津市。ここに一文字の町名字名があれば、それが間違いなく日本一短い地名となるからです。たとえば、津市寿1なんて具合に。
ところが津市の場合は最低でも2文字。つまり津市○○1番地となるわけで、これではナンバーワンの座を獲得することができません。
実は、栄えある1位の栄光は千葉県にあります。

日本一短い地名は千葉県旭市に!

千葉県、九十九里浜の最北端に旭市があります。
その旭市にある千葉県立旭農業高等学校の住所は、「千葉県旭市ロ1番地」。実はこれが、不動産登記簿に登記されるもっとも短い地名です。
ためしにGoogleマップやYahoo!地図で「千葉県旭市ロ1番地」と入力しても、ちゃんと千葉県立旭農業高等学校が表示されます。ロは「くち」ではなく、イロハの「ロ」という点にも注目を。

さらに面白いことに、旭市にはイ、ロ、ハ、ニ、ホという地名があります。
たとえば旭市の玄関口、旭駅やその周辺は、「旭市ロ」、旭市の市役所は千葉県旭市ニといった具合です。
千葉県ではイロハ地名が多く、匝瑳市八日市場、八街市八街、香取市佐原、山武市蓮沼などにも現存しています。

旭市の場合は明治22年、町村制施行に伴い、網戸村(あじとむら)、成田村、十日市場村、太田村が合併して海上郡旭町が誕生の際に旧村に、大字(おおあざ=住所は市町村名+大字+小字+番地で成立)としてイロハをふったもの。
網戸村がイ、成田村がロ、十日市場村がハ、太田村がニという具合です。
十日市場という地名はかつては農村の定期市が開かれていたのでしょう。旧村名を地名に残さなかったのはなぜなのか、はっきりしたことはわかりません。

しかももうひとつの偶然が、旭町誕生にはありました。
それが、村ごとの小字に固有の地番がなかったこと。例えば成田村大字仲町に1番地から80番地まであったとします。その隣の新町にも1番地があれば、合併の際に旭町仲町1番地やら、旭町ロ新町1番と小字(こあざ)が入って、日本一短い地名は生まれないことに。

つまり、網戸村、成田村、十日市場村、太田村の4つの村は、小字に関係なく「地番が偶然にも連番だった」ことが、奇跡を生んだのです。
その結果、歴史的な村名は消えたものの、日本一短い地名が生まれたのです。

旭市の旭は木曽氏に由来

ここで、ひとつ疑問が。
地元では
「どこに住んでらっしゃるの?」
「うちはロの○○なんです」
なんて会話がはたして成り立つのかという点。

この辺を聞いてみると、
「実は地区名(昔の小字)で話すことも多い。実際に交差点名なんかがそうですから道案内にもそちらのほうが便利」
とのこと。
そりゃ、「ロの○○番地を右に」よりも、「○○交差点を右に」の方がわかりやすい。その交差点が地区名というワケなのです。

ちなみに旭町(現在は旭市)の旭の由来は、九十九里の朝日が美しいのに由来かと思いきや、
「戦国時代に木曽義昌(信濃国木曾谷の領主木曾氏の第19代当主)が、善政をしいて領民に慕われていました。幕末に京の歌人・野々口隆正(津和野藩士・今井秀馨の子)が当地を訪れ、『信濃より いづる旭をしたひ来て 東のくにに跡とどめけむ』と、義昌公を偲んだ歌を詠んだことに由来しています」(旭市観光協会)とのこと。

木曽義昌は、徳川家康の関東移封に伴い、秀吉から下総阿知戸(現在の千葉県旭市イ)へ移封されています。墓所は、千葉県旭市イ2337の東漸寺(とうぜんじ)。

旭市には、東洋のドーバーといわれる屏風ヶ浦南端の刑部岬や「座頭市物語発祥の地碑」、遊侠の親分・飯岡助五郎の墓なんかもありますから、日本一短い地名を訪れたなら、周辺の観光スポットにもぜひ寄り道を。

 

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