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日本寺・百尺観音

凝灰岩からなる鋸山(標高329.1m)の大半が、その霊域となっている日本寺。一歩山に踏み入れば、各所に石仏が点在し、いかにも霊山の趣となっています。その山頂の一角、金谷下山口(北口管理所)にあるのが、百尺観音。昭和41年に6年の歳月を費やして完成した巨大な磨崖仏で、高さ100尺(約30m)というのが、その名の由来です。

百尺観音は、航海、航空、陸上交通の安全を守るご本尊


百尺観音は、太平洋戦争の戦没者や交通戦争の犠牲者の供養のために彫られたもの。
金谷石と呼ばれる房州石(ぼうしゅういし)の石切場跡に彫られた神秘的な磨崖仏です。
昭和35年から6年の歳月をかけて彫られた観音菩薩像は、航海、航空、陸上交通の安全を守るご本尊として崇めらています。
房州石のひとつである金谷石は、鋸山の山上で切り出され、車力(しゃりき)と呼ばれる人が石を専用の木製荷車に載せて、金谷石が敷かれた道(車力道)で浜金谷の港へと下りました。
石畳に轍(わだち)が残る車力道はハイキングコース(関東ふれあいの道「東京湾を望むみち」)として整備されているので、鋸山の登下山に活用することも可能です(浜金谷駅から鋸山山上まで徒歩1時間30分ほど)。

また、百尺観音のある場所が北谷下山口で、日本寺北口管理所。
ハイキングコース(関東ふれあいの道「東京湾を望むみち」)を登ってくると、この日本寺北口管理所で拝観料を払う仕組みです。

房州石(金谷石)

房州石、金谷石として、鋸山山中から運び出された石(凝灰質砂岩)は、内房線開通以前には船で運ばれ、江戸・東京の町造りや、開港当初の横浜港の護岸工事などに活用されました。房州石と総称されますが、採石場は富津市から鋸南町にかけて点在し、その地名をとって、元名石(鋸南町元名)、金谷石(富津市金谷)、天神山石(富津市海良)、高宕石(富津市高宕山)などと呼ばれていました。

厳密に房州石の産地を調べると、堆積年代の異なる3つの地層(上総層群竹岡層および黒滝層、三浦層群萩生層、保田層群)に区別できます。その代表的なものが、鋸山山頂付近の上総層群竹岡層で、鋸山山頂付近や富津市海良〜君津市黄和田畑〜勝浦町鵜原にかけて分布しています。

鋸山山頂付近の金谷石や元名石が房州石の最良品で、比較的石目が細かく揃っており、風化しやすいという欠点がありますが、耐火性に優れて重宝されたのです。

土台石、倉庫、石垣、石塀、土木用、外壁、かまど用に利用され、横浜高島桟橋基礎、港の見える丘公園石垣、早稲田大学石塀、靖国神社塀下などに現存しています。

取材協力/東京湾フェリー・鋸山ロープウェー

日本寺・百尺観音
名称日本寺・百尺観音/にほんじ・ひゃくしゃくかんのん
所在地千葉県富津市金谷
関連HP日本寺公式ホームページ
電車・バスでJR浜金谷駅から徒歩8分の山麓駅から鋸山ロープウェーで4分、鋸山駅下車、徒歩10分
ドライブで館山自動車道木更津南ICから約32km
駐車場有料道路専用山頂駐車場(200台/通行料に含まれる)
問い合わせ日本寺 TEL:0470-55-1103/FAX:0470-55-1174
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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