ラピュタの壁

ラピュタの壁

千葉県富津市、東京湾から眺めるとノコギリのように立ちはだかることが山名の由来という鋸山(標高329.1m)。全山、凝灰岩の山で南房総・鋸南町側は日本寺の境内ですが、富津市側は金谷石の石切り場跡が断崖絶壁として残存し、そのひとつがラピュタの壁と称されています。

最大垂直面96mの絶壁

ラピュタの壁

山上部分の石切り場跡に昭和35年から6年の歳月をかけて彫られた観音菩薩像「百尺観音」が有名ですが、その直下にあるのがラピュタの壁。
昭和61年8月2日に公開されたスタジオジブリ初の長編アニメーション映画『天空の城ラピュタ』に登場する空に浮かぶという伝説の城ラピュタに似ていることから、そうよばれるようになったもの。

房州石のひとつである金谷石は、鋸山の山上で切り出され、車力(しゃりき)と呼ばれる人が石を専用の木製荷車に載せて、金谷石が敷かれた道(車力道)で浜金谷の港へと下りました。

石畳に轍(わだち)が残る車力道はハイキングコースとして整備されているので、鋸山の登下山に活用することも可能です(浜金谷駅から鋸山山上まで徒歩1時間30分ほど)。
車力道コースとともに人気の登山道の関東ふれあいの道「東京湾を望むみち」コース途中に位置するのがラピュタの壁で、途中には山頂域の石切り場から切り出した石材を石の滑り台で山麓へと下ろした樋道(といみち)の跡もあり、石切り場であることを体感できます。
樋道横に石段が併設されるのは、石を落とすスピードを調節する作業者の立つ場所というだけでなく、朝夕は切り出しの現場で働く人々の通勤路にもなった道です。

ラピュタの壁は、最大垂直面96mの絶壁で、奥へと切り進んだ横穴もあり、まさに神殿のようなイメージ。
眼下に東京湾を眺望するので、まさに天空の城ラピュタといった感じに。

ラピュタの壁
名称 ラピュタの壁/らぴゅたのかべ
所在地 千葉県富津市金谷
電車・バスで JR浜金谷駅から徒歩8分の山麓駅から鋸山ロープウェーで4分、鋸山駅下車、徒歩15分
ドライブで 館山自動車道木更津南ICから約32km
駐車場 有料道路専用山頂駐車場(200台/通行料に含まれる)
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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