千葉県銚子市、銚子半島の先端、名洗港の南、犬若地区の海岸にある奇岩が犬岩。隣接する千騎ヶ岩は、源義経が平泉に逃れる際に騎馬を隠した岩とされ、残された愛犬・若丸が7日7晩鳴き続け、8日目にその姿は岩となったのが犬岩だといわれています。江戸時代に流行した銚子磯めぐりの名所のひとつ。
義経北行伝説に由来する名前
犬岩、千騎ヶ岩ともに古い太平洋のマントル対流によって運搬されてきたと推測されるジュラ紀の硬い砂岩で構成された堆積物。
銚子半島の中央にある一番高い愛宕山もこのジュラ紀の地層でできています。
源義経は平泉から落ち延び、北の蝦夷地に渡ったという義経北行伝説は、宮古市、久慈市、八戸市など北東北から北海道にかけて残されています。
ただし、この義経北行伝説が流布したのは江戸時代のこと。
つまり、犬岩、千騎ヶ岩の義経伝説も東北諸藩と江戸とを結ぶ海上輸送の東廻海運(ひがしまわりかいうん)が江戸時代初期に確立されたため、東北から船乗りたちによって伝えられたものだと推測できます。
犬岩は、日本遺産「北総四都市江戸紀行 ~江戸を感じる北総の町並み~」の構成資産にもなっています(北総四都市=佐倉、成田、佐原、銚子)。
江戸時代に流行した銚子磯めぐり
江戸時代に『おかげ参り』に代表される伊勢参宮の大ブームが起こりますが、江戸では、利根川舟運を利用して香取神宮、鹿島神宮、息栖神社を巡拝する「東国三社参り」が人気となります。
当時、銚子は、利根川の東遷事業で、東北と江戸を結ぶ中継地として大いに賑わい、江戸、水戸などに次ぐ、大都市に発展していました。
「銚子磯めぐり」は、木下茶船で利根川を下り、香取神宮参拝後、船で遊郭が建ち並んだ松岸河岸(まつぎしがし=現・銚子市松岸町)で下船、妙見宮や飯沼観音、そして銚子の海岸線一帯に広がる奇岩奇礁が生み出した景観を巡り、屏風ヶ浦を眺める名洗浜(現・銚子市名洗町)を終着地とするオプショナルツアー。
「銚子磯めぐり」は、銚子に滞在した小林一茶などの多くの文人墨客により、江戸に知れ渡り、た歌川広重の『六十余州名所図会』に下総を代表する絵として、「下総銚子の濱 外浦」(名洗浦=現在の屏風ヶ浦)が描かれたのも、「銚子磯めぐり」の人気が背景にはあったと推測されます。
銚子磯めぐりの行程(例)
江戸小網町~(夜船)~行徳河岸~(木下街道・徒歩/38km)~木下河岸~(夜船・木下茶船)~津宮河岸(香取神宮参拝)~(船)~松岸河岸~(徒歩/4km)~飯沼観音~(徒歩)~銚子磯めぐり(徒歩または舟/15km)~息栖神社参拝~(徒歩/8km)~鹿島神宮参拝~(船)~潮来~(夜船)~木下河岸~(船)~行徳河岸~(木下街道・徒歩)~江戸小網町
銚子・犬岩 | |
名称 | 銚子・犬岩/ちょうし・いぬいわ |
所在地 | 千葉県銚子市犬若 |
関連HP | 銚子市公式ホームページ |
電車・バスで | 銚子電鉄外川駅から徒歩13分。または、JR銚子駅から長崎線バスで犬若下車、徒歩10分 |
ドライブで | 銚子連絡道路横芝光ICから約39km。または、東総有料道路大角ICから約38km。東関東自動車道潮来ICから約38km |
問い合わせ | 銚子市役所観光商工課 TEL:0479-24-8707 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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