福岡県福岡市中央区、博多漁港を東に臨む丘の上の公園で、荒津山、荒戸山と呼ばれた景勝地が、西公園。江戸時代に福岡藩が東照宮を建立した地で、明治維新後荒廃し、明治14年に荒津山公園として整備が決まり、明治18年に桜を植栽。現在では日本さくら名所100選に選定される福岡屈指の桜の名所になっています。
江戸時代、丘の上には福岡東照宮の壮麗な社殿が
現在の大濠公園・舞鶴公園一帯は、かつて草香江(草ヶ江)と呼ばれる入江と湿地で、福岡城跡あたりには平安時代に外国使節をもてなした迎賓館である鴻臚館(こうろかん)が建っていました。
大陸への交流の拠点だった入江の入口に突き出した岬は、黒田騒動(江戸三大御家騒動)の当事者の2代藩主・黒田忠之(くろだただゆき)が、幕府への忠誠を示す必要から東照権現(徳川家康の神号)を祀る福岡東照宮(荒戸山東照宮)を承応元年(1652年)に建立。
麓から丘の上に長い石段を築き、丘の上に神殿、拝殿、唐門などの社殿を配しました。
東照宮の別当(神社を管理する寺)として天台宗の福祥寺も建立され、壮麗な伽藍が形成されていました。
毎年4月17日の祭礼には、多くの参拝者を集めたというのも、今は昔話です。
明治の神仏分離、廃仏毀釈の荒波で東照宮は廃絶となり、建物は破却され、御神体の東照大権現座像は、黒田忠之ゆかりの警固神社に遷されています。
東照宮跡地に桜を植栽、光雲神社が遷座
福岡東照宮(荒戸山東照宮)の跡地に桜を植栽し、明治33年に福岡県営の西公園として開園。
現在園内には黒田如水(黒田官兵衛)・黒田長政を祀った光雲神社(てるもじんじゃ)、鎌倉時代の創建と伝えられる中司孫太郎稲荷神社、母里太兵衛と福岡藩では数少ない勤王の志士・平野国臣のブロンズ像、加藤司書の歌碑、徳富蘇峰の詩碑、万葉歌碑などがあります。
万葉歌碑は、遣新羅使・土師稲足(はじのいなたり)の作。
「神さぶる 荒津の崎に 寄する波 間無くや妹に 恋ひ渡りなむ」(『万葉集』巻15・3660)と、妻を恋慕う歌で、歌に詠まれた「荒津の崎」が、西公園となった荒津山をことと推測できます。
展望広場は、東側、中央、西側、展望台の4ヶ所。
大型遊具を設置した森の遊び広場や、展望デッキの整備なども計画されています。
光雲神社はもともと、福岡城本丸の天守台の下にあり、廃藩置県で警固神社(けごじんじゃ)近くに移転、明治40年に現在地に移されたもの。
光雲神社の石鳥居はかつてあった東照宮の鳥居です。
中央展望広場からは東に福岡市街地、北に博多湾や海の中道、志賀島を眺望。
園内にはソメイヨシノを中心に1300本の桜が植栽され、「日本さくら名所100選」に選定。
例年の見頃は3月下旬~4月上旬で、開花期間中はライトアップも実施されています(花見期間中は交通規制が実施されるので公共交通機関の利用を)。
春の桜が有名ですが、4月中旬〜5月上旬にツツジが見頃を迎えるつつじ谷、秋にモミジ、イチョウが色づくもみじ谷もあり、四季の移ろいを楽しむことができます。
画像協力/福岡市
西公園 | |
名称 | 西公園/にしこうえん |
所在地 | 福岡県福岡市中央区西公園 |
関連HP | 西公園公式ホームページ |
電車・バスで | 福岡市営地下鉄大濠公園駅から徒歩10分 |
ドライブで | 福岡都市高速西公園ランプからすぐ。または、百道ランプから約3km |
駐車場 | 東駐車場(43台/無料)、中央駐車場(13台/無料)、西駐車場(19台/無料) |
問い合わせ | 大濠・西公園管理事務所 TEL:092-741-2004 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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