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ノツカマフ1・2号チャシ跡(根室半島チャシ跡群)

根室半島の根室海峡側、ノッカマップ岬の東端には根室半島チャシ跡群のひとつ、ノッカマフチャシ跡(ノッカマフ1号・2号チャシ跡)があります。根室半島の海沿いには16世紀〜18世紀にアイヌ民族が構築した32ヶ所のチャシが現存。そのうち24ヶ所が国指定史跡となり根室半島チャシ群として「日本100名城」に選定されています。

根室半島チャシ跡群は日本最北で最東端の「日本100名城」

ノツカマフ1・2号チャシ跡MAP

戦闘時の砦(とりで)のほか、周辺の部族との談判(チャランケ)や祭祀を行なう場にもなっていました。
アイヌ人は議論好きだったそうで、相手を論破するまで議論を戦わせたのです。

ノツカマフ1・2号チャシは、オホーツク海(根室海峡)沿いの見通しのいい岬に築かれ、「コ」の字形や半円形の壕を巡らせていることから実戦的な要素も強かったと推測できます。

見学可能なチャシは、ノッカマフチャシ跡と納沙布岬に近い温根元漁港西側のヲンネモトチャシ跡に限られるので、時間に余裕があればぜひ見学を。

ノッカマフチャシ跡は、1789(寛政元)年、和人(松前藩)に搾取(さくしゅ)されたアイヌが蜂起し、和人71人が殺害される「クナシリ・メナシの戦い」の際、松前藩は首謀者など37人を捕縛しこのノツカマフで処刑しています。

当時、ノツカマフは、根室半島のアイヌの中心都市で、ここで多くの血が流されたことから、集落としての機能が放棄され、根室の中心部が現在の市街地に移ったのだとか。

駐車場からチャシ跡への踏み跡のような道

ノツカマフは、根室の首都で、日露通商交渉のルーツ

ノツカマフ1号チャシ跡
ノツカマフ2号チャシ跡に掘られた壕

根室市街から道道35号を利用し時計回りで根室半島を周回すると、北方原生花園手前の風力発電の風車が目印となります。
風車を過ぎた地点にノツカマフ1・2号チャシ跡の入口があり(矢印がある)、草原を歩くとオホーツク海を一望できる崖上に、半円形の壕が巡らされていることがわかります。

このチャシは、1778(安永7)年にロシア・イルクーツクの商人シャバーリン(Дми́трий Я. Шаба́лин)が来航し、松前藩氏に書簡を渡して交易を申し出るなど日露外交交渉発祥の地にもなっていることにも注目を。

シャバーリンは、ナタリア号に乗船し、国後島の総乙名ツキノエの案内でノッカマップ岬近くに上陸、日本側役人と面会して松前藩と交易したいと交渉。
松前藩は回答を翌年に持ち越したため、1779(安永8)年に再度ノッカマップに来航し、2ヶ月ほどここで松前藩の到着を待ちますが、姿を見せないため、厚岸(アッケシ)に移動。

実は松前藩は津軽海峡を横切るのが難所で、下北半島・佐井(現・青森県佐井村)で風待ちに費やし、到着が遅れたのです。
松前藩の回答は「国策により通商は無理なので、長崎出島へ」でしたが、この地が日露通商交渉のルーツであることに変わりはありません。

こののち江戸幕府は、ロシアとの戦争を経験するベニョフスキーらの意見に耳を傾け、ロシアの南下政策に危機感を抱く林子平の『海国兵談』なども出版されて、東北諸藩の北方警備へとつながっていきます。

そんな北の開国のドラマチックな歴史を背景に、ノッカマフチャシ跡は「クナシリ・メナシの戦い」の舞台となるのです。

チャシはアイヌの砦!?
アイヌ語のチャシ(chasi)は、柵囲いの意。
チャシコツ(chasi-kot)がチャシ跡で、もともと砦ではなく、神に対する信仰の場、さらには漁場監視の大切な場ということから、守るべき場所、つまりは砦としての機能となったと推測する研究者もいます。
北海道教育委員会に登載されているチャシ跡は現在507ヶ所、発掘調査が実施されたのは、わずかに40数ヶ所、自然崩壊・人為的破壊で消滅したものが、すでに31ヶ所あります。
国後島や千島のアイヌとの交易が盛んだった根室管内には北海道教育委員会登録だけでも86ヶ所のチャシが確認されています。
ノツカマフ1・2号チャシ跡(根室半島チャシ跡群)
名称 ノツカマフ1・2号チャシ跡(根室半島チャシ跡群)/のつかまふいちにごうちゃしあと(ねむろはんとうちゃしあとぐん)
所在地 根室市牧の内130(カーナビには根室市牧の内127-1を入力)
関連HP 根室観光協会公式ホームページ
ドライブで 根室中標津空港から約91km。駐車場から徒歩5分
駐車場 2台/無料
問い合わせ 根室市歴史と自然の資料館 TEL:0153-25-3661
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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