北海道美唄市にある周囲2.7km、最大水深2.4mの沼が宮島沼(みやじまぬま)。日本最大、最北端のマガン寄留地として全国的、世界的にも有名で、周辺を含め41haが国指定宮島沼鳥獣保護区(集団渡来地)、ラムサール条約登録湿地に指定。宮島沼水鳥・湿地センター近くに「観察エリア」が設けられています。
春秋にマガン、ハクチョウを観察
宮島沼周辺は渡り鳥の環境保護のため、立ち入りが禁止され、宮島沼水鳥・湿地センター近くの「観察エリア」から観察する仕組み。
マガンは春(東北の宮城県伊豆沼・蕪栗沼周辺など越冬地から北に帰る際)と秋(南の越冬地を目指す際)、年2回、宮島沼を通過する渡り鳥で、春の飛来期は4月中旬〜下旬、秋の飛来期は9月下旬〜10月上旬です。
ハクチョウ(オオハクチョウ、コハクチョウ)は、3月上旬~5月上旬、10月上旬~11月中旬です。
ピーク時の4月下旬にはマガン4万羽〜7万羽、ハクチョウ6000羽〜1万羽を観察。
しかも、早朝、日の出の少し前に塒(ねぐら)を飛び立ち、日中は周辺の田園地帯で餌を採って過ごし、夕方、日の入り前後に宮島沼に戻ってきます。
つまり、日中に訪れても、残念ながらほとんどその姿を見ることができません。
ただし、天気が良ければ午前中を中心に沼で休息するマガンを観察することができます。
早朝の飛び立ちを狙う場合でも、初めて訪れる人は、近隣に宿を取り、下見を兼ねて前日夕方の塒入からの観察、撮影がおすすめです。
いきなり、早朝を狙うと、暗くて道がわからず、農道に迷い込んで脱輪したり、溝に車を落としたりするケースがあるとのこと。
駐車場に到着後も、暗いうちは車で待機して、少し明るくなってから観察場所に向かうように。
暗いうちから突堤に人が詰めかけると、驚いたマガンが早くから飛び立ってしまったりという事態が生じます。
宮島沼水鳥・湿地センターは、マガン最盛期には早朝(日の出頃から)トイレのみ使用可。
国内最大だった湿原(石狩泥炭地)と宮島沼
水部の面積30haという宮島沼(自然湖)ですが、その成因は未だに不明で、国内最大の湿原(石狩泥炭地)の凹地に石狩川の伏流水(地下水)が湧出、さらに雨水などが溜まったものと推測されています。
もともとは大沼(ポロ・トー/poro-to))と呼ばれていましたが、明治24年、宮島佐次郎が、新潟県から石狩川の畔(現・月形町新生)に入植し、明治30年、宮島沼の南岸から樺戸道路に至るまでの31haの土地の払い下げを受け、小作人6戸と開墾に着手したため、宮島沼と呼ばれるように(明治37年の石狩川の洪水被害で宮島佐次郎は開拓を断念)。
宮島沼周辺に、現在は手形沼、三角沼がありますが、以前にはさらに10ヶ所もの湖沼がありましたが、開拓とともに埋められたり(原野開拓の際に泥炭起こしと呼ばれる作業が行なわれました)、乾燥化して消滅しています。
宮島沼周辺にも泥炭層があり、低層湿原を形成していますが、人が足を踏み入れたり、開発され、乾燥化すれば湿原も失われてしまいます。
その意味でも、宮島沼は渡り鳥にとっては、残された貴重な環境ということに。
宮島沼 | |
名称 | 宮島沼/みやじまぬま |
所在地 | 北海道美唄市西美唄町大曲 |
関連HP | 美唄市公式ホームページ |
ドライブで | 道央自動車道三笠ICから約16km |
駐車場 | 宮島沼水鳥・湿地センター駐車場を利用 |
問い合わせ | 美唄市生活環境課環境係 TEL:0126‐62‐3145 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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